内容説明
基本方針は、原文に忠実に、原文に何も加えず、引かず、原文の各行ごとにそれに対応する日本語を付けていく逐語訳を行うことによって、作曲家が原語の歌詞に付けた音楽を、原文にずれることなく日本語で知ることができる対訳書、である。この改訂版では、テキストをブロック分けせず上下1行ごとに日本語訳を付けることによって、原文の意味をより探りやすく、見つけやすくした。またこの改訂版では、モーツァルト新全集の歌詞を基底としてイタリア語詩の韻律と詩節に依って詩行を作成した。その楽譜のテキストと、台本の作者であるダ・ポンテの1786年オペラ初演時に出版された台本、およびモーツァルトの手稿譜に書かれてある歌詞との相違点を克明に註として加えた。この詳細なテキストの相違点を記した対訳書は我が国はおろか世界でもはじめての試みで、オペラ・ファンや研究者にとって貴重な情報であり、実際の上演にも不可欠な書籍・資料となろう。
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感想・レビュー
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アキ
101
先週末に観たオペラ「フィガロの結婚 Le nozze di Figaro」の復習として、4幕すべての原文と対訳を読んだ。ウィーンで観たセビリアの理髪師の続編と知る。伯爵夫人は前作のロジーナ、つまり薔薇の意味。フィガロの結婚でのスザンナはユリの意味。第1幕フィガロのアリア「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」と第2幕ケルビーノのアリエッタ「恋とはどんなものか」を原文で読む。初演は1786年5月1日ウィーン、ブルグ劇場。モーツァルトの軽やかな音楽とポンテの台本は6週間で仕上げ、ヨーゼフ二世に奏上した。仏革命前の音楽劇。2022/10/18
金吾
22
当時の時代が垣間見えます。フィガロのテンポのいい機転は楽しいです。次は『セヴィラの理髪師』を読んでみたいです。2025/02/10
m
5
観劇の予習に。まさに直訳という感じで意味が分かりにくい箇所もあったが注釈で補うような感じ。音楽も聴きながら読むと捗る。2020年180冊目。2020/10/28
takakomama
4
METのライブビューイングの予習と復習。2001年の改訂版。「セビリヤの理髪師」の続編。結婚式の日取りが決まったフィガロとスザンナに伯爵夫人が加わり、スザンナに密かに思いを寄せる伯爵を懲らしめようとする、知恵比べのドタバタ劇。結末は伯爵がみんなにやりこめられて伯爵夫人に赦しを乞います。とっても面白かったです。2025/06/03