内容説明
ノラは子猫を探し「奥のほそ道」の旅に出た。
《我が家の老猫ノラはある日コツゼンと姿を消しました。ノラは、芭蕉さんの「奥のほそ道」の旅に出たのだと思うのです。消えてしまったノラの念力をいただいてこの話ができました。》東京から松島へ、そして平泉へ、ノラの旅はつづく。登場する猫たち――ボイシー、トーちゃん、ニャー水、ネコ尼、ネコ丸……いずれも個性豊かで、みな俳句を詠む。句会はもちろん、連句(五七五の句のあとに七七の脇をつける)もあるし、句合せ(持ちよった句の勝ち負けを決める)もある。全篇に猫たちが詠んだ句があふれ、人気猫イラストレーター・浅生ハルミンの絵も多数収録された(カラーも5点)傑作猫物語。文庫化に際して全篇にわたり加筆訂正した完全版、待望の刊行。全14章、見出しは全て俳句。
猫たちの句の一部をご紹介:片すみに猫がかたまる走梅雨/老猫の小さな足に西日さす/みちのくの涼しさつげよ猫の旅/水を飲む猫の小舌に秋の風/渋柿の花散る里に帰りゆく
そして連句――
スーパーの煮干しの固き余寒かな ノラ
貧しき家にけふもいついて トーちゃん
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
98
離れ離れになった子猫達を探して旅するノラ。行く先々で出会う猫たちと俳句を詠む。「猫の気ままな日常」的なお話が、後半はにゃむにゃむとファンタジックストーリーになっていく不思議。堕落した猫は人間になることがあるらしい。もしかしたら私も何世代か前には猫だったかも。精進して俳句を捻ったらいずれ猫にもどれるだろうか。作中のアラシさん(作者本人)がとてもチャーミング。2017/12/09
み
29
ジャケ読み♪さっき読み終わった作品の余韻を消したくて(>_<)イラストがホッコリとイイ感じです。ネコは堕落するとヒトになるとは、へ〜(^-^)2018/03/11
高橋 (犬塚)裕道
7
星3.5。ほのぼのとして切なくもありのんびりともしている。不思議な猫物語。 麗らかに 昼寝する猫 夢切な2018/03/14
量甘
3
老猫ノラが「奥のほそ道」の旅に出た。俳句を詠む拝猫たちが個性豊かで面白い。猫は念力で俳句を詠んでいる…。<みちのくの涼しさ告げよ猫の旅>俳句とイラストにほっこりした。2020/03/23
ハッピー
3
実家で積読していた初読みの作家さん.マツモトさんちで飼い猫をしていた推定二歳ノラ.サラ,タラ,リラを産んだが引っ越しのときに別れてしまった.子猫が心配になってもとの家に戻ったノラだが,子猫がいないためしかたなくノラ猫になった.そんなノラが十五歳となり猫俳句と出会った.猫縛りの俳句と絵でほのぼのします.2019/03/26