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内容説明
江戸時代多くの命を救った男を描く傑作小説。
元禄十三年、二百石取りの彦根藩士の家に生まれた玄悦は母に厳しくされ、自分が実の子ではないと感じていた。下働きの八重が突然いなくなり、やがてその後呼ばれて八重を訪ねていくと、八重はおなかの子が出てこられずに苦しんでいた。八重が生みの親とわかった玄悦だったが、八重は亡くなってしまう。医者を志したが許されず、玄悦は独力で鍼や按摩の技術を習得し京都に出る。
そして同じ長屋の女性が八重と同じくお産で苦しんでいるのを見て、自らの技術で女性の命を救った。玄悦の技術は評判となり、自ら回生術と名付けた。また夜鷹など行き場のない女性が滞在するための家を借りた。一方、亡くなった胎児を時に傷つけ引きずり出すことを批判され、子供は苛められた。
ある日、商家の妾が難産でひどい扱いをされているのに激怒した玄悦は、その女性・お糸を引き取った。玄悦は、お糸にこれまでの女たちにはない感情を抱くようになる…。
上手くいかない三人の子供との関わりや妻のお信やお糸とのことに悩みながらも、多くの命を救った。山脇東洋を始めとする一流の医者たちからも、その技術を認められるようになった男の熱き生涯を描いた傑作小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りょう
11
千の命があれば、千の生きていく意味がある、誰でもおかあちゃんが命かけて産んでくれはったんやから、大事に生きなあかん、という日本の産科の基礎を作った賀川玄悦というかたの物語。いや、面白かった、すごかった!2021/02/03
セタッチ
9
賀川玄悦の波瀾万丈な人生を綴った小説。賀川玄悦は彦根藩士の子で家を出て独学で鍼や按摩をして、産婦人科医をする。当時出産で母子が亡くなる確率が高くて、独学で発見した回生術で多くの命を救う。1754年スコットランドの医師が胎児の正常胎位は頭が上でなく下だと発表。その頃には玄悦も発見していた。当時、玄悦の治療を信じてくれる人が少なく、発表されなかった。玄悦は出産で多くの母子や貧しい人を助けた医師の鏡のような人。そこには“命を救いたい”という思いが伝わってくる。出産シーンは笑・涙・喜の感動ストーリー。2020/06/02
kaorin
8
日本の産科の基礎を築いた賀川玄悦の話。決して恵まれた境遇ではなく、医師としては遅咲きだが、それまでの常識や迷信を覆し、中傷を浴びながらも、自身の信じた道を進み続けた。才能だけでなく、ひとりでも多くの女性の命を助けたいという情熱に満ち溢れた人物。妻のお信や妾のお糸は、大変だっただろうが。医療従事者でありながら、賀川玄悦のことは知らなかったので、小説にしてくれた植松三十里氏に感謝。とても読みやすい本でした。2022/10/11
だりあん
8
日本の近代産科の礎を築いた江戸時代の医師、賀川玄悦さんのお話。こんなすごい人がいたなんて、知らなかった。2018/01/15
ポメ子
6
産科医賀川玄悦の物語。玄悦の業績、山脇東洋との関係など、初めて知る事が多くて新鮮だった。また登場人物それぞれの人間模様も詳しく描かれていて、どうなるのか気になり、なかなか読む手を止めれなかった。2024/05/25
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