内容説明
「御松茸同心を命ずる」──十九歳の尾張藩士・榊原小四郎は、かつてのバブルな藩政が忘れられぬ上司らに批判的。いつか自分が藩の誇りを取り戻すと決めていたが、突如、「御松茸同心」に飛ばされる。松茸のことなど全くわからない上、左遷先は部署ぐるみの産地偽装に手を染めていた。改革に取り組もうとする小四郎の前に、松茸の“謎”も立ちはだかる! 爽快時代お仕事小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
118
まかてさん、2014年の作品。尾張徳川家の藩士小四郎が御松茸同心として不作続きであった藩の特産品である松茸の再生に向けて試行錯誤していく人情劇。サラッと肩肘張らずに読めるので、重たい作品を読んで疲れた後のクールダウンにはちょうどいいかも🙆2019/03/23
ふじさん
102
算術を得意とし、上司に批判的で、いつか自分が藩の誇りを取り戻すと決めていた尾張藩士・榊原小四郎は、突如、「御松茸同心」を仰せ付かる。松茸のことは等分からぬ上に、左遷先は産地偽装に手を染めていた。松茸の増産や困窮する藩財政の立て直しために、改革に取り組むことに決心する。そんな彼は、大殿の宗春公が日々思い付いたことを記載させた書を手にする。大殿の民に対する思いや国の在り方、松茸に関わること等が書かれており、大殿への強い思いが彼を動かし、成果を上げることになる。小四郎の爽快な生き方が心地良い1冊だ。 2023/02/19
のぶ
79
大変面白い一冊だった。読みながら何度も笑った。19歳の尾張藩士、小四郎は当然御松茸同心に飛ばされる。実際にこんな同心があったかどうかは分からないが、今まで松茸の事など全く知らなかった小四郎は、収穫のノルマを与えられ、松茸の探し方から学んでいく。やがて、松茸の増産の方法等も研究して行く迄になっていく。一つの成長小説だが、ドタバタ喜劇のような部分もあり飽きることはなかった。あと、登場の尾張藩士は名古屋弁を話すが、地元在住者として、このイントネーションを活字で伝えるのは難しいなと感じた。2017/12/13
優希
66
面白かったです。まかてさんのユーモア小説は楽しすぎますね。御松茸同心を命じられ、左遷された小四郎の成長物語でした。ほっこりする感じが心地よいお仕事小説とも言えます。2020/11/04
タツ フカガワ
52
江戸定府の尾張藩士小四郎は、出世を夢見て用人手代見習いに励む日々。ときに辛気臭いところもあるが根は真面目な19歳。ところがある日、国元での御松茸同心へと左遷される。慣れぬ仕事に苛立つなか、やがて凡庸だった亡き父と先の藩侯宗春との繋がりを知る……。感動的な結末でした。その要因のひとつがここで描かれる宗春像で、「達者にすごせ」の言葉にはグッときました。ところで、父の朋輩3人「三べえ」(能天気ぶりは「元禄御畳奉行」級)は読むほどに好きになりました。2018/06/12
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