内容説明
日本の超エリート官僚と在日米軍の軍人たちが毎月2度行う秘密の会議「日米合同委員会」。そこで合意された取り決めは日本の法律・憲法よりも、強い効力をもっている。しかし、軍事、外交、司法のさまざまな側面で、日本の主権を侵害し続けるその協議の内容は厚い秘密のベールに包まれ、ほとんど公表されることがない。米外交官から見ても「きわめて異常」と評されるその驚くべき実態に、第一人者の大宅賞作家、吉田敏浩がせまる。第60回日本ジャーナリスト会議賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Lara
76
東京都港区南麻布4丁目に、ニューサンノー米軍センター(ニュー山王ホテル)がある。そこか、または外務省等別の場所で、2週間に一度程度開かれる、日米合同委員会。日本代表は、外務省北米局長、米代表は、在日米軍司令部副司令官で、米側は基本全て軍人。そこで話し合われるのが、米軍人の日本国内での犯罪行為等。そもそも、日本国内における、米軍人軍属の犯罪に対し、日本国は裁判権を放棄したようだ。密室で、時には日本国憲法さえ超えることも。中身は非公開。そもそも、「地位協定」の米側に一方的有利な状況を改善することが先決。2022/09/17
つきかげ🌙
52
トランプ大統領来日に関連して。日本におけるアメリカ軍の特権は日本の高級官僚と米国軍人で構成される日米合同委員会によって秘密裏に決定される。外務省、内務省、国土交通省にそれぞれ秘密文書があり、最高裁判所の裏マニュアルもある。(なぜ秘密文書の存在がわかるかというと、アメリカでは古い秘密文書が解禁され公開されるからです。)密約は憲法下の法律よりも優先され、米国軍人の犯罪、国内の民間機の飛行可能空域、米軍基地近くの騒音・低空飛行の問題がある。自衛隊の富士演習場を米軍が年270日も使っている事実もある。言語道断だ。2019/07/01
ころこ
41
日本にとってアメリカは特別な国だ。米軍に対する日本政府の対応は法的根拠を持たないものがある。日本での米軍の位置づけを根拠づけているのは日米地位協定だが、米軍の活動に関する日本政府の具体的対応は隔週木曜日の11時から行われている日米合同委員会で決めており、法整備することなく米側を運用面で優遇しており、その多くが密約として公開されていないため、日本は一方的な不利益を受けてしまっている。本書は情報公開法や関係者から入手した情報を元に、米兵の犯罪に対する日本側の取り扱いや日本領空における米軍の優遇など不平等で異常2024/10/22
奥澤啓
39
精読するには大変な労力と時間を要する内容だ。日本国の中枢は闇に中にあるという事実。日本国憲法下の独立国ではなく、日米関係が憲法や国内の法体系の上位にあるのだ。日米合同委員会の密約や日米地位協定をすべて明るみにだし、名実ともに日本が主権国家になるにはどうすればいいのかという、大命題と読者は直面する。憲法改正よりもこの問題とまっこうから取りくむことこそ必要なのではあるまいか。そのためには胆力と行動力を要する政治家が必要だ。保守派界隈が大好きな「国柄」という言葉は幼稚な現実認識の少女趣味にすぎないことがわかる。2017/04/25
おさむ
38
日米地位協定以上に厄介な、法的根拠すらないこんな日米間の合意があるとは驚きです。よく知られるのは日本の空の管制圏を米軍が牛耳っている「横田空域」問題ですが、同様の岩国空域もあるんですね。米軍兵の甘い事件処理も合意事項なのだとか。名大の長谷川正安教授による安保法制の体系と憲法体系という二つの法体系が日本には存在するとの理論は言い得て妙。全ては占領期から続く悪しき慣習。日米合同委員会は米軍から見れば特権を維持するためのリモコン装置、とする著者の指摘に首肯します。まずは情報公開から始めなくてはいけませんね。2018/05/21
-
- 電子書籍
- 俺に惚れたと言ってくれ! ベツフレプチ…
-
- 電子書籍
- アデライド【タテヨミ】第65話 pic…
-
- 電子書籍
- すばらしき新世界(フルカラー) 36 …
-
- 電子書籍
- クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の…
-
- 電子書籍
- 改元 島耕作(31) ~平成27年~