内容説明
時は戦国。出羽に生まれた民治丸に課せられたのは、闇討ちにあった父の仇討ちを果たすという使命。しかし民治丸は身体も小さく、通常の手段では、仇に勝つほど剣術で強くなることは難しい。いかにすれば、力弱き者が強き者に勝てるのか。過酷な修行のなかで、民治丸は神託を得て「居合い」という全く新しい剣術を編み出していく。そして民治丸は、林崎甚助と名乗り、仇・坂上主膳を追って旅に出る。やがて青年剣士は、京の都へ。しかし坂上主膳は、梟雄として名高い戦国武将・松永久秀の家臣となっていた……。奸智に長けた松永久秀をも相手に、甚助の仇討ちは成就するのか。スピード感溢れる文体で、居合いの始祖・林崎甚助の若き日の活躍を描いた、痛快剣豪エンタテインメント小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
C-biscuit
12
Kindleアンリミテッド。林崎甚助とは居合の開祖ともいうべき人物。幼少のころから、仇討の本懐を遂げるところまでが、この小説の中身。幼少のころに、闇討ちにより父を失い、家禄も失った。仇討のための修行の様子や神託を受けた独特の長剣が居合以上に小説として面白い。必殺技的な名称もちりばめられており、技の名前がわかる人にはさらに面白いのだろうと思う。血のりもつくのでそう何人も切れるものでは無いように思うが、十数人をぶった切る場面と、やたらと首が飛ぶ設定で、居合すごさと長刀の切れ味が表現されている。面白く読めた。2019/06/06
ワッピー
4
夢に林崎流という文字列を見て、この本を手に取りました。幼少のころから仇討の使命を負わされた甚助が体格に恵まれない不利を克服する苦悩のプロセスを見て、武道とは自らを開拓していく道なき道なんだと頭では理解しました。まあ、居合はもとより武道修行などとは縁のないワッピーに言われたくはないでしょうけれど。甚助の恵まれない幼少期から、ついに足利義輝の寵を得て仇に迫るまで、あるいは謎の茨組との死闘のなかで、林崎流発展のプロセスが示されているのでしょう。動画などで型の動きを見てシーンを想像してみるのが楽しみです。2016/06/27
niz001
4
タイトル通り、居合の太祖林崎甚助の物語。義輝の元に林崎甚助が帰って来てたら、運命は変わっていたかも?と、ふと思う。2014/11/20
染ちゃん
2
著者は、相当居合を研究されていますね。 その精神を含めて、多くの業の原点やその経緯まで、つぶさに描写、表現されていて、時間が経つのを忘れるくらい魅了されました。 この続編を、是非、期待し、発刊を待ちます。2015/01/22
正太郎
1
居合の祖、林崎甚助の話です。個人的には、居合より抜刀術の方が呼び名として好きなんですがね。身体が小さい不利を克服するために、長刀抜刀の技を編み出した所が面白いです。創意工夫で難敵を打つと言った感じでしょうか。面白かったです。2016/10/10