内容説明
地球のN極とS極が反転し始めた。大規模地磁気嵐が発生し、東京上空にオーロラが出現。異様な寒冷化と降り注ぐ宇宙線に不安が広がる中、女性記者浅田柊の耳に奇妙な話が聞こえてくる。都内の病院から妊婦たちが次々と失踪しているというのだ……。謎の団体、脳科学の闇、不可解な妊婦の死。取材の果て、柊が突き止めた恐るべき真相とは。パニックSFの新たなる傑作。『磁極反転』改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チョコ
72
磁極?地球は磁石なの?あ、そっか方位磁石が北指すか、というレベルの知識で読み始め、太陽フレアとか地球のコアだとか、いつもと私が目にするものと全く違う分野て面白かったです。訳の分から無いものに対しての恐怖が色々社会に混乱を与える様子が、コロナ禍の今と似ていて、作者が本当に先見の明というか、こういう事態も見越していたのではないかなぁーと今のコロナ禍の状況を作者に伺いたい感じ。2021/09/05
papako
59
ダメだった。この作家さん、なんだかんだで楽しめていたので読んでみたけど、結果流し読みに。いつもの薀蓄と謎解きのちょうどいい感じが無くて、ちぐはぐな印象。地軸反転と妊婦失踪が、ちょっとずれてたのが一番の理由かな。残念。樹くんが元に戻って、ろうそくあげられて良かった。それだけが救いかな。2018/07/09
きっしぃ
43
地磁気反転が起こりつつある日本、それによってもたらされる影響、そして謎の妊婦たちの失踪事件。最初の説明部分が辛くてなかなか読み進まなかったけど、事件が起きてからは読みやすくなった。地磁気反転は現在までにも起こってきたことみたいだけど、いま自分が生きている瞬間に、だとパニックになってしまうのかなぁ。ラスト近くの柊の台詞にはちょっと胸が熱くなりました。ひさびさの600ページ越え、達成感!2017/06/06
kk
22
何の前触れもなく人類を襲う急激な地磁気異常と、不安・混乱に陥る社会。そして逆に高揚感に包まれる一部の人々や渦巻く思惑。そんな設定の下、フリージャーナリストの主人公が、頻発する妊婦失踪の謎に迫るお話。未曾有の事態に直面する人々の生き様に加え、背景となる科学的要素についても、決して理系ではない主人公の視線を通じて自然に語られているように感じました。ものすごくドラマチックなストーリー展開ってわけでもありませんが、危機の中での人間の利他的な営みに向ける視線に明るい希望が感じられて、読後感は悪くありませんでした。2022/07/29
みなみ
21
地球のN極とS極が反転し始めたことによる寒冷化や宇宙線に不安が広がるSF。電話やネットが繋がりにくくなったことによって、誰もが時間に余裕を持って行動するようになった世界は、不便そうではあるけれど精神面の余裕がありそうで羨ましい。誰かのせいにして文句を言う前に、別の方法を考えることは大事にしたい。「大事なことは、他人を出し抜く賢さじゃない。今夜みたいな暗くて寒い夜に、わずかな食糧を分けてくれる友人がいることよ」という柊の必死の言葉が心に響いた。2024/02/06