内容説明
会社が危機の時、全社一丸になろうとしてはいないか? かつて利点だった日本企業の「まとまる力」が、いま社員一人一人の能力を引き出すことの大きな妨げとなり、組織を不活性化させている。必要なのは、まず組織や集団から個人を「引き離すこと」なのだ。働き方をドラスティックに変え、個の力を充分に活かすための大胆な提案。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カザリ
45
行動より機能を重視するお話。行動とは何時間労働したか、そこにいたか。機能とは、どれだけ成果につながる仕事をしたか。行動と機能を切り離して、メンバー個人の自律性を生かす組織は、イメージとしてはオールスターで戦う感じ。もっと言ってしまえば、組織でありながら、組織じゃないみたいな。これ、いい。もっと言ってしまえば、もう個人が独立している感じ。これいい。メンバー同士がフラットな関係で相互に協力しながら柔軟に行動する。個人の独立をゆるやかに組織だてるイメージがつかめて、ウキウキわくわくするような内容2017/06/20
おさむ
38
今年は日本企業の不祥事が相次いだ年でした。名だたる大企業でデータ改ざんや隠蔽、粉飾決算が発覚しました。組織論で知られる著者は、その原因を個人が組織や集団から分化されていない「未分化」にあると指摘しています。長時間残業や休暇返上など勤勉さがある日本人ですが、仕事に対する熱意は実は国際的に見て低いのだとか。更に欧米に比べて職場の仲間が困っていても助けないし、ノウハウも教えない傾向が高いという。こうした難点もきちんと分化すれば解決すると説きます。好例は病院や映画製作など複数の専門職が協力する集団です。2017/12/21
羊山羊
14
日本は、かつての均質な個人が必要な時代にはその国民性が唯一無二の競争力を誇ったが、その役割をIOTに奪われた今、凋落の一途をたどっている。そこで個人と仕事を分化して伸び伸び仕事をしていこう、という1冊。3章からが本番。縦割構造が悪く機能するが故、下部での村社会と足の引っ張り具合が生産性の悪化を助長するというのは納得だが、その構造を打破するには外圧が必要という指摘にため息を覚える。やはりそれしかないのか、と。類著は沢山あるけど、色んな人が言葉にしにくいことをしっかり言葉にした大事な1冊。2019/09/26
ふぇるけん
13
最近組織に関する本をいろいろと読み漁っている。日本の組織の問題は、「人」と「仕事」を「分化」できていないことが問題であるという主旨だ。最近テレワークを導入してみたもののやっぱりやめた、という企業があったがそれは組織マネジメント側が「仕事」でなく「人」を管理しようとしているから。ナルホド。もっと「仕事」をきちんと定義して人に割り振れるようにすれば、短時間しか働けない主婦層や副業の人も活用できるかも。2017/04/21
takam
12
日本の組織はゲマインシャフトであり、それが成長期には強みであったが、現在の新自由的なトレンドが速く移り変わる時代にはそぐわなくなってきている。個人の分化が進むと自然に協力し、組織としての統合が成立することを指摘している。どのように個人の分化を促すかはこの本ではクリアにならない。副業であったり、他のコミュニティを持つことを勧めている。分化は人材の流動化を促すが、私の考えでは先に流動化が進み分化が進むのではと思う。流動化は個人レベルでは転職を積極的にやることとセーフティネットを充実させることが重要と思う。2019/05/30