内容説明
本書にはさまざまな「日本」が描かれている。会社勤務のサラリーマン。管理社会。日常生活にしのびこむ異物。あるいは異物の侵入によってねじまげられた日常世界。そして風俗、怪談、民話、日本史……。アメリカで黄金期をむかえたSFは、日本に紹介されたあと眉村卓の手によってこのような変貌をとげた。これは草創期における、日本SFの原点ともいえる作品群である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
スターライト
5
日常の平凡な生活からちょっとずれた世界へと移行してしまう話を収めた短篇集。良くも悪くも男性の思いを代弁したような部分が多くて、女性が読むと眉をひそめてしまうかも。印象的なのは「奥飛騨の女」と「砂丘の女」。それぞれ飛騨高山、鳥取を舞台にしていて、前者は豊田有恒「両面すくな」(すくな、はホントは漢字)を想起させる作品。後者は、自分が実際鳥取に行ったことがあるので、それを思い出しながら読めた(残念ながら湖山池は行ったことがないが)。巻末の「名残の雪」は、最後のドンデン返しにしてやられた。2012/01/09
酔花
3
小松左京の女シリーズを想起させる「奥飛騨の女」「砂丘の女」が良かった。特に、擦り切れた中年サラリーマンの心情が描かれる「砂丘の女」では、主人公の気持ちがよく分かり、読み手である自身も、もう学生の頃とは違うのだよなぁという感慨が共鳴して、切ない読書体験でした。ああ、旅に出たい。「潮の匂い」「名残の雪」は何度も読んでいるため、今回はパス。2020/10/19
Taragome9
1
名作「名残の雪」は評判通りの名作でした、SF的な捻りの効いたラストが良かったです。 その他では「奥飛騨の女」が昭和的なホラーで好みの作品でした。2025/07/20
タケミチ
0
タイムトラベルSFの名作と聞く『名残の雪』が読みたくて。新撰組を題材にしたお話で、最後の一捻りがきれいに決まっています。その他の収録作はだいたい既読だったけど、ほとんど覚えていなかったので楽しめました。2012/05/19
マメのすけ
0
SF短編集。『名残の雪』が読みたくて借りたのだけど、それ以外の作品の面白さが私には理解できず…。幕末時代にタイムスリップするという設定の『名残の雪』が読めただけで満足です。@図書館2009/06/21




