内容説明
石
「夜が明けたら」シリーズ全7話をふくむ15篇の名品を厳選しておとどけする恐怖のSF決定版
愛するわが子は異常早熟の天才児だった! 若妻をおそった悪夢を描く表題作「石」、冬の山中で姿をくらました妻を探し、男は不気味な洞窟へ……。地の底にうかびあがった戦慄の光景「黄色い泉」、ある晩、謎の現象によってすべての電力が停止してしまった。暗闇の中でふるえる人々を待っていた苛酷な運命とは?「夜が明けたら」など、血も凍る恐怖の数々。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
5〇5
6
1960〜70年代に書かれた本書の作品群は、ホラーというジャンルが再編されつつある時期に位置づけられる ♦本作は恐怖・怪談・伝奇といった諸要素によって成立している ♣小松はそこにSF的想像力を導入し、怪異を再解釈可能な現象として提示する ♥この手法はヨーロッパの近代怪奇と日本的怪談を接続し、ジャンルの拡張に寄与している ♠なかでも「くだんのはは」はその到達点として際立つ。2026/05/04
Ai
6
表題作や『くだんのはは』が、やはり強烈。小松さんは長編しか読んだことなかったので、短編もこれからどんどん読んできたい。2018/04/02
やまと
5
読書会に備えて、いくつかの話を再読。SFの巨人が著した恐怖短編集。中でも「くだんのはは」は戦後恐怖小説のベストとも称される作品。 太平洋戦争末期。空爆で家を失った「僕」は、知り合いの家政婦のツテを辿り、彼女が住み込みで働く屋敷で居候する。戦局が異様さを増し廊下の奥にまで影を落としこむ中、「僕」は二階ですすり泣く声を耳にする。 オチは予想通りだが、苛烈さを帯びる戦局と森閑とした古屋敷の対比や、むっとにおいの立ち込めてきそうな描写が恐怖を煽る。そしてそれは、終盤で最高潮に達する。あの結末は忘れられない。2019/03/16
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
4
☆×4.5…これは身の毛が逆立つようなホラー、時折ちょっぴりSF作品集です。表題作は一見するとSF調に見えてきますが、終盤になってある事実が露呈してくると「うわー」となってしまう作品です。天才は確かに逸材だけれどもこう言う天才は金輪際現れてほしくないものです!!よい作品ばかりなのですがお勧めは「比丘尼の死」です。どこか神秘的な雰囲気が終盤に一変するさまは圧巻ですし、人の愚かさをしみじみと感じてしまいましたので。2012/03/12
blue_elephant
3
1964年から1974年にかけて書かれた短編が15編。背景・人物描写が昔話のように古いのはあたりまえだがそんなことを感じさせない筆力が素晴らしい。このところ、ライトノベルに近いような作品を立て続けに読んでいて尚更、そう感じるのかもしれないが短編といえども深みがあり、引き込まれてしまう。『くだんのはは』は第二次世界大戦中の日本の町を軸にした人間の業を描いた悲しい話でもあった。日本書紀、妖怪、幽霊、歴史、SFなど様々なジャンルを見事にモダンホラーとして浄化させている。2018/07/21




