集英社文庫<br> 思い出は満たされないまま

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集英社文庫
思い出は満たされないまま

  • 著者名:乾緑郎【著】
  • 価格 ¥671(本体¥610)
  • 集英社(2017/09発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087456127

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内容説明

東京・多摩地区在住のフリーター・甲田には認知症の母がいる。母の介護を口実に仕事を辞めたのに団地の自治会役員を押し付けられてしまう。住民の自分勝手なクレームに翻弄される毎日。遂に近くに住み着いたホームレスの男性を追い出せと言われ……(「団地の孤児」)。マンモス団地に住み暮らす人々の日常と街の様相を描いた7つの連作短編集。この一冊には理屈を超えて、感情を揺さぶるパワーがある。

目次

しらず森
団地の孤児
溜池のトゥイ・マリラ
ノートリアス・オールドマン
一人ぼっちの王国
裏倉庫のヨセフ
少年時代の終わり

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

moonlight

29
マンモス団地に暮らす様々な家族。ほんのりSFのスパイスを効かせて連作短編の形で何世代かに渡り描いている。団地で育つ子ども、子どもを育てる親、やがて親になった子ども、年老いた親、気持ちが通ったりすれ違ったり。また、縁のなかった人と思わぬ交流が生まれたり。多くの思い出を刻みながら団地もやがて歳をとる。温かく切ない物語だった。2020/09/14

coco夏ko10角

20
マンモス団地が舞台、7つのお話収録の連作短編。故郷にあった団地を何度も思い出す。『一人ぼっちの王国』がよかった。2020/07/13

百太

19
ノスタルジーを感じる年になりました。苦笑2022/08/20

NAOAMI

18
多摩地区をモデルにしたマンモス団地での世代を超えた連作短編。同じ場所をつなぐ、異なる現在過去未来に仕掛けが施されており、読み応えのある物語。登場人物の思い出(≒記憶)が満たされない(≒定かでない?)。しらず森と呼ばれる近辺に潜む時空の穴での神隠しやら、おぼろげな記憶に残る父と思わぬ再会を果たしたり、伴侶となる人の「育ての親」に出会っていたり、そして、マンモス団地の行く末と共に未来が語られていたり。東京郊外の寂れをベースにしつつ、そこで暮らす人々の喜怒哀楽が連なる。ひょうたん山、離婚回避のパワースポットか?2017/10/09

ヒラソル

14
マンモス団地に住む人たちの温かく少し不思議な物語。神隠しとタイムスリップを合わせていたりが好きだなぁ。そして月日のたった団地というのは寂しさが漂う。朽ちていく建物と記憶。それは苦い思い出を少しだけ中和してくれるのかもしれない。脳が勝手に作り変えて都合よくしてしまう。それで本人が生きやすくなるのなら悪くない。プロレスの話とかよかったなぁ。最後のループする感じもいい。団地ってのは大きな船のようなもので、そこに住む人は船員みたいなものだ。そんな終わり方もいい。2017/07/28

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