内容説明
45歳、職なし、バツイチ、彼氏なし。ミチルにあるのは元夫から譲られたマンションと貯金の三百万円。若くて可愛くてチヤホヤされたバブルの頃が忘れられず、そうかといって将来に不安がないわけでもない。恋愛、子供、親、仕事。あたし、これからどうするんだろう――。それでもミチルはめげずに前を向く。時代の波に翻弄されながらも懸命に今を生きる女性に贈るハートフルストーリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
247
バブル景気、イケイケ学生時代を過ごした女性が、時を経て齢45となり、バツイチ、彼氏とも別れて、職を失っての立ち上がり。人生の厳しさを味わう事になるのかと思ったけれど、全然暗さは伴わなくて。「今日も上機嫌」は言い過ぎにしても、女性一人でも身軽な感じがしますね。ロスジェネ世代の妹に説教され、着実に生きる事と対比されるのかなぁと思ったけど、ノンノンノンですよ。あの時代の女性はパワーがありましたが、その残り火でも、ガンガン突き進む力が残っているのかな。ラッキーも多いけど、それよりも気の持ち様なのかなぁ。2025/08/22
ふじさん
105
バブル期に、美味しい思いをしまくった山崎ミチルが主人公。現在45歳、無職、バッイチ、彼氏なし。元夫から譲られたマンションに住み、貯金は300万円。昔を懐かしみながらも、自分の将来に不安を抱えながら生きている。そんな中で、チラシ配りのバイト絡みで、家賃交渉専門の会社にスカウトされ、働くことになる。全編を通して時代の流れに翻弄されながらも、懸命に生きる女性の姿が巧みなタッチで描かれており、心温まる作品。後半は、原田ひ香が得意とする「ちょっと変わった仕事小説」になっており、面白かった。2024/05/05
アッシュ姉
95
最近ますますお気に入りの原田ひ香さん。こちらも面白かった。四十五歳バツイチ無職で人生の岐路に立たされるミチルさん。バブル世代でなくとも過去の栄光を引きずったり、無敵で怖いものなしだった昔を懐かしむことはある。若い頃は根拠のない自信に溢れ、さほど努力しなくても何だってうまくこなせた。いまとなっては誰より自分が信じられず、新しいことを覚えるのにやたらと時間がかかり、忘れるのは驚くほど早い。劣化していく自分を受け入れ、年相応に平穏に生きていきたい。前を向いてちょっと上機嫌になれるお話。ミチルさんに幸あれ!2021/10/21
ノンケ女医長
81
山崎ミチルさん、45歳。恋を重ねて、仕事にも打ち込んできた。一生懸命過ぎたのか、別れた男性からの評価は良くないようだ(特に251頁の言葉は酷い)。ミチルは、こんなに頑張っているのに。苦労も重ねて、深みのある物腰を身につけたのに、どうして評価されることが少ないのだろうか。同世代の女性として、ミチルに感情移入するあまり、作品に登場する人々に対して腹立たしくなった。彼女を慕う年下の田丸優奈もそうだが、気を張り詰めて日々を過ごしているのに、周りから誤解されることが多くて辛い人には、とても胸が打たれる作品だと思う。2023/01/07
優希
73
面白かったです。バブル世代ではないけれど、ミチルと重なる部分が多くて共感してしまいます。これからのことに不安になりながらも前に進もうとする姿が格好良いなと。懸命に今を生きようとするハートフルストーリーにほっこりしました。2022/04/16