内容説明
科学技術万能の時代に、お話の効用を。悠長で役に立ちそうもないものこそ、深い意味をもつ。深呼吸しないと見落としてしまうような真実に気づかされる五十三のエッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
morinokazedayori
22
★★★★★世界を飛び回る著者の活動範囲の広さと、心理学、哲学、宗教、文学から芸術に至るまで、扱われている素材の広さに圧倒される。押し付けがましさが微塵もない、柔らかく時にユーモア溢れる語り口に、著者の懐の深さを感じる。2018/02/15
きょちょ
21
昔話の話はやはり面白い。 江戸時代、すべての藩ではなかったのかもしれないが、個性を重視した教育をしている藩があったことは、今更ながら教育家と政治家は真剣に考える必要がある。その藩は、当然飛び級もあったそうな。 誰でも平等という教育はいい加減止めるべし。 河合先生は、70過ぎても精力的に海外も含め公演されてきた。 仕事しすぎが、早逝の一因ではなかったろうかと、今でも思う。 ★★★ 2023/04/01
たまきら
20
夫が借りてきたので読んでみた。不思議なリズムの文章だ。脈拍が裏打ちされてるような、なんだかテンポがずれてるような。「自分の感覚」を大切にしている人が時事ネタについて解説している面白さというか。リアルタイムで読んだら面白かったろうなあ。2017/09/28
roughfractus02
9
京都新聞連載の53のコラムを収めた本書は、「事実」を伝えるニュースと異なり、物語は「真実」を伝えるという。物語が伝える「真実」とは、幻想や想像でできた物語を生み出す無意識と現実を認知する意識との包括的関係(こころ)であり、視聴覚優位の意識と言語でてきた「事実」はその一部にである、という著者の主張を含む。幼児期に同一化する対象を作る必要を説く著者は、オウム事件の若者達に現代の希薄な人間関係を見出し、自我の自立を促す社会に出る以前に濃密に他者と関わる無意識的な経験が、成人後の不安に対処する安心感を作ると語る。2023/02/17
takakomama
0
著者は日本や世界各地で講演している多忙な人。エッセイの内容もグローバルで視野が広く、日本の未来を案じています。 2017/11/07