内容説明
著者のすべてのエッセイから「植物」をテーマに、最も面白い作品を集めた究極の「奇妙な植物たちの物語集」。植物界の没落貴族であるシダ類、空飛ぶ種子、薬草、毒草、琥珀、「フローラ逍遥」など収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青蓮
114
没後30周年を記念して刊行された本書は植物や庭園について書かれたエッセイ。既読のものが大半でしたが、懐かしく読みました。普段、道端で見る何気ない草花でも、澁澤龍彦の筆にかかると何か特別な物に見えてくるから不思議です。中でも25編からなる「フローラ逍遥」が素晴らしく、草花の美しさやその神秘に魅入られる。それにしても澁澤龍彦と言う人は恐ろしく物知りだ。博覧強記とは彼の為の言葉であるように思います。そんな彼と出会って10年が経ちました。これからもずっと澁澤龍彦のファンでいたいな。2017/09/02
阿部義彦
28
今月の一発目は澁澤龍彦さんです。過去のエッセイから植物に関する文章を新たに編集したものです。フローラ逍遥も収録されてますが単行本にあった綺麗な図版までは流石に収録できな買ったのが、残念です。注目はマンドラゴラですね。この植物については澁澤龍彦さんしつこい位にいろんな題で書いてますよね。人間が耳栓して犬に引き抜かせて、マンドラゴラの悲鳴を聞くや犬はすぐに死んでしまうって本当か?!訊くだけ野暮ですね。庭園に関する考察も大変澁澤さんらしくて素敵でした。2017/09/03
em
19
植物に関するエッセイ。ヘロドトス、ユイスマンス、熊楠と広範な引用を駆使し、自在に遊ぶ澁澤の世界。とくに『イリアス』からの引用は、私が素通りしていた箇所も多く、新鮮でした。「東西庭園譚」も面白い。楽園のイメージの具現としての庭園。宇宙論、汎神論が庭園造形に与えた影響。異国趣味による東西の逆転現象。さらに「愛の植物学」ではのっけから『とりかへばや物語』の倒錯を語り、澁澤節が弾けていました。「ユートピア社会と植物界とは、…あらゆる点で似ているのである。その成員の両性具有、その性における乱交までをも含めて。」2018/01/20
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18
天空に架かる庭園。なんで魅力的な響きだろ。家を建ててから、少しずつ庭を整える。庭や植物に全く興味が無かったのに、今は魅了されている。なるほど、庭は宇宙の縮図なんだね。2019/06/30
双海(ふたみ)
16
没後30周年フェアの一冊。お気に入り:「太古の植物」・「琥珀」・「愛の植物学」2017/08/14