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内容説明
日の丸規格の国際標準化交渉で連戦連勝だったソニーの凄腕交渉人の手記。この人がいなければ、Suicaの国際標準化はなかった。
日米欧の企業が激突する国際交渉の舞台裏を赤裸々に描いたノンフィクション。以下は、本書「まえがき」から。
本書は、ソニーに勤務していた「交渉人」の私が当事者として経験した日の丸規格の国際標準化の舞台裏を、ソニーのフェリカ(JR東日本のSuica)、デンソーのQRコード(二次元バーコード)、東京電力のUHV(1100キロボルト超高圧標準電圧)について初めて明かすノンフィクションである。
国際標準という言葉は一般には馴染みがないかもしれないが、たとえばSuicaという便利な交通用のカードは、私たちがあらゆる交渉のテクニックを駆使して反対勢力の裏をかき、多数派工作に成功していなければ、国際標準化に失敗していまほど広く普及していなかったかもしれない。
そう考えると、意外に身近に思えるのが国際標準なのだ。
誰もが知っている典型的な国際標準は、長さや重さ、時間などの計量単位の度量衡標準である。その他、ネジのサイズやピッチ、各種標識なども国際標準だ。
これらの標準がなければ、私たちの社会生活は大変不便になる。
(中略)
国際標準化という企業同士が争う戦場で力もカネも技術もない日本が勝利するのは、絶望的な状況になった。米国も欧州も中国も、すでにマイナーな日本の味方ではない。
本書で取り上げた事例は、日本にとって最後の輝きだったのかもしれない。」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
R
17
凄い面白いけど、絶対知り合いになりたくない、そんな風に思わせてくれる仕事のできる人による仕事のお話でした。国際社会における商業闘争を詳細に描いて、実際にその場を生き抜いてきた著者だからこその手練手管が描かれていて、大変面白かった。絶対に知り合いになりたくないなという、交渉の妙味が描かれていて、憧れとも違うが、凄いなという畏怖を覚えるものの、この生き方だからこそ招いた今でもあろうと思わされ、またそれも実力で打破というか踏破しているというのが脱帽でありました。ただただ感嘆である。2018/09/19
takam
16
著者は自分が経験したことを実名で出版するくらいだから、相当癖の強い人物だろうと思う。標準化は技術議論ではなくほぼほぼ政治の枠組みである。様々な人間模様によって企画ができていると思うと、技術者として真摯に技術に取り組むことの正しさに自信を失ってしまいそう。2020/05/17
hiyu
7
恥ずかしい話だが、正直、後半部分の交渉は、よくわからないところも多く、理解した、できたと言い難い点はある。しかし、交渉の在り方だけでなく、交渉を通じた行間の意味合いとしてのメッセージ性を感じるものでもあった。ふと、間主観性が重い浮かんだ。何となくなのだが。2018/06/23
js-fisherman
3
交渉のノウハウがどうの、というより、著者の国際標準化に関する交渉の話がなかなか面白かった。2018/04/08
saharabooks
2
有能なのだろうがとにかくクセが強い著者。直属の上司をすっとばし、辞表片手にソニーの副社長に昇進要求の直談判をする。規格標準化の裏側では熾烈な交渉が行われている...ことはよく分かったが、著者のキャラの方が印象に残ってしまった。2018/10/09