内容説明
■ろくでもなく愛おしい主人公の決断に、きっと誰かが救われる。――住野よる氏
■薄暗い青春の片隅でうごうごしているとき、我々はみんなマスクをつけている。――森見登美彦氏(解説より)
人生、マスクが必需品。
自称「口裂け女」ことくにさきみさとは、札幌在住の22歳フリーター。
他人とはマスクを隔てて最低限の関わりで生きてきたが、諸事情により、避けてきた人々と向き合う決意をした。
自己陶酔先輩の相手をし、ひきこもりの元親友宅を訪問し……やっかい事に巻き込まれ四苦八苦する口裂けだが、周囲の評価は確実に変化していき――?
衝撃の結末とある「勇気」に痺れる、反逆の青春小説!
第6回野性時代フロンティア文学賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mapion
328
相手にどう思われているのかを気にして、マスクをしていれば表情を読み取られずに済むと思い、人前でマスクを外す事が出来なくなった自称口裂け。彼女は人が自分をどう見ているのか、頭の中で作ったマスクの声が自分に語ってくる。結局人が自分をどう思っているのか、自意識はそこに行き着くことから逃れられない。コミュニケーションはうまくできず、人が言ってくることが自分にとってどうなのか、検討することを放棄しているかのように相手に流され続ける。臨界を迎えたとき、彼女は相手に何を言えるのか。森見登美彦さんの解説に納得。2025/12/31
ユメ
43
めくるめく怒濤のひとり語りに吸い寄せられるうち、ふと気づく。マスクを装着してしか人と向き合えない主人公。この子は私だ。私もきっと見えないマスクをしているのだ。しかし、顔が隠れて何を考えているかわからないと、それはそれで勝手なことを言ってくる人もいる。マスクを外さなくてはいけない。言われなくても自分が誰より知っている。だから私は、主人公が上げた反逆の狼煙に、彼女と一緒になって叫び出したくなるほどの感動を覚えた。「私の人生を生きているのは私なんだよ!」と声にならない声を上げている全ての人たちに贈りたい作品。2017/09/04
カノコ
38
常にマスクを付け、他人との接触を避ける22歳のフリーター、通称「口裂け女」。しかし、そんな口裂けが、周囲の人たちと関わる羽目になり…。幸か不幸か、わたしは自分が真っ当な人間だと思っているのだが、そのせいか主人公の気持ちに寄り添うことができずに困ってしまった。多分、この真っ当さ故の傲慢や欺瞞が、彼女のような人を苦しめているのだろうと思うものの、イライラするのを止められず。主人公の周囲の人物は身勝手な存在として描かれているようだが、そちらの方がまだ理解が容易。苦々しさばかりが残り、単純に相性が悪い作品だった。2019/05/26
ゆきこ
21
住野よるさんオススメ本の初読み作家さんの作品。札幌のレンタルビデオ店でバイトする自宅以外でマスクを外せない自称口裂け女とそれを取り巻くいろいろな人との関係性を自分なりに説いていく自分との戦いの話。まぁ、感情移入できず最初は読みづらいですが住野さん推しなので最後までなんとか…解説はなんと森見さんが書いております。過去の自分と対峙して新たな自分を見つけ出そうとする気持ちは大事だし、あたしも頑張ろうっとと思えた本でした。2017/11/19
のりすけ
19
『美女竹』のアンソロでお名前を知り初読み。軽快なテンポで語られるコミュ障ちゃんの物語。彼女にとっては彼女に深入りしない人がありがたいのね。今後この嬢ちゃんはどうやって生きていくのだろう、厭なことがあったらその都度関係を断ち切って逃げるのだろうか…という危惧は残るが、そこも含めて面白かった。そういう人生があってもいいじゃない。マスクのハニー呼びかけとお犬様がツボ。わばばばばば…ファー様か!2019/09/10
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