内容説明
フィクションかノンフィクションか? ある地方銀行で、絶大な権力を掌中に君臨していた相談役に反旗を翻した一派がいた。出世とカネをアメに、長年にわたって銀行を私物化してきた相談役は、このクーデタを押さえ込むことができるのか? 取締役会の多数派工作は熾烈を極め、誰がどちらにつき、誰が裏切るのか? 実録ならではの、手に汗握る醍醐味。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てつのすけ
35
実態を知らないが、銀行は、何となくこんな感じなのではないかと思ってしまうのは、著者の経験をふまえて書かれているからだろう。どのような組織でも、自分の保身を考える輩がおり、それを排除しようとする人達がいる。どちらに付くのが楽かといえば、自己保身する側だろう。そのような輩と対峙するのは、結構しんどいことだ。自身が現在進行形で経験しているのでわかる。本書を読み終え、今の考えはブレてはいけないと再確認した。2021/06/18
Yuichi Tomita
5
最近ニュースでも話題になっている地銀をモデルとした小説(ということになっている)。頭取退任後も権力を握り続ける相談役と頭取との権力闘争がメインのテーマ。そこには不正事件で逮捕された第一生命の保険外交員が多いに絡んでいる。 読み出したらあっという間に読み切ってしまった。地銀という古い日本企業を舞台に、人を支配する者が生き抜いていくという生々しい姿(一応フィクションらしいが)を見せつけられる。正しいことをしている人、有能な人が生き残るわけではないんだよな。2021/10/18
hexia
4
2004年5月、山口銀行での頭取交代の裏側に、実はクーデターとも言える異常な背景があった。10年後、その事実を元に書かれた小説、という体裁だが、実質は告発書である▼若干変えているが、ちょっと調べれば登場人物の本名などすぐ分かる。単行本の初版は山口銀行某幹部が買い占めた、などエピソードも面白い▼小説として見た場合、事実を羅列する文体は読みにくく、そもそもクーデーターが成功し一番の悪役は今も山口銀行に勤務しているのでカタルシスの欠片もない。でもそれでいい、なぜならこれは「悪いのはお前だ」と告発する書なのだから2017/11/19
terukravitz
4
図書館本 ★★☆☆☆2017/09/25
ハザマー
2
金融機関の派閥、主従関係はよく聞く話ではあるが、これだけ私利私欲、個人の力が働くトップはストーリーとしても白いね。2024/08/28