内容説明
冷戦構造の終焉、アメリカ覇権の衰退、経済相互依存の進展--。激変する情勢のただなかにある現代、我々はどこへ向かうのか。国境が薄れた「新中世圏」、なお国民国家たらんとする「近代圏」、秩序が崩壊した「混沌圏」に国々を分類、移行期にある世界を独自の視点で鋭く分析する、刺激的な論考。ヨーロッパ中世になぞらえた「新しい中世」の概念を駆って、ポスト近代の世界システムの構想に理論と実証で迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
110
この本を書かれたのが1996年。その後補足を書いたのが2001年。今からもう20年以上経つがまだ色あせていない本になっている!冷戦を深く考察し、今後の世界を新しい中世になると書いてあった。キーワードは相互依存。中世のような多様性と中世になかったグローバリゼーションと相互依存が合わさった世界に移行する。中世で流行ったペストがいまのコロナのように感じて親近感が湧いた!今後のアジアの予想はかなり鋭い。確実に冷戦の教訓を生かしてアジアが回っていると感じた。日本はなにを考える必要があるのか考えさせられる本であった!2021/11/12
キムチ
36
中世欧州の体制本かと思いきや大きく異なっていた。小難しい本かぁと読み進めると案外ついて行ける・・しかも面白い。わが国政権のこれからあるべき概念が提示されている。1~6章で19Cまでの国際秩序の説明、とりわけ冷戦のダイナミズムの説明がかなり詳細。7,8,9章で冷戦の後の国際社会をどう睨むか、安倍政権は?とまとめ上げる。目から鱗だったのは政権はかつてのそれではなく主権・企業・NPOな種々の国際機関が雑多に並立する社会という国際秩序。新しい中世という概念とは?1日本2中国と北韓3体制すら危うい政権・・2017/11/20
Francis
21
経済学者の水野和夫さんが推していたので学術文庫版が出たのを機に読んでみた。冷戦後の世界は相互依存が進んだ日米欧中心の第一圏域「新中世圏」未だに近代化の最中にある中国・ロシアなどの第二圏域「近代圏」そしてソマリア・アフガニスタンなどの第三圏域「混沌圏」に分かれるとの見通しは刊行後20年経った今も通用する内容である。国際政治学関係者向けに書かれたものだが、もっと広く読まれるべき本だと思う。2018/03/14
T.Matsumoto
6
池内恵准教授のブログで取り上げられていたので、手に取りました。20年前の本ですが、いまでも通用するフレームワークが提示されているのは、もう凄いなと。いまの南シナ海の情勢を予言していたかのようです。たしかに、サラリーマンではなく外交官や霞ヶ関向けの内容ですが、現代史を手際よく理論的に整理していく流れは、参考になります。2017/10/20
A
4
ヨーロッパ中世は、権力主体の多様化と普遍的なイデオロギーとしてのキリスト教に特徴があったが、近代は、国家が権力主体として台頭し、主体の均質化が起こり、また複数のイデオロギーが対立しているところに特徴があった。しかし現代では、権力主体が国家から様々な非国家主体に分散し、再び主体の多様化が起こり、また自由主義的民主制と市場経済が普遍的なイデオロギーになりつつあるんだという。著者は現代のこの状況を「新しい中世」と呼ぶ。個人的には、「新しい中世」において宗教はどういう位置づけなのかが気になった。2021/01/27
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