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内容説明
死ぬ自由があってもいいじゃないですか。
脚本家の橋田壽賀子さんは、戦争中の体験から、死は自分にとって身近なもので、人生にある種の諦めを感じていたと言います。戦後、自由な時代になり、テレビの人気脚本家として忙しい日々を過ごしている間こそ、そういった考えは遠のいていたそうです。しかし、精一杯生きててきて、一息ついた頃、橋田さんは自らの往生について考えるようになりました。自分はどうやって、死にたいのかと考えた橋田さんの答えは「安楽死」も選択肢のひとつとしてもいいのではないか、というものでした。その考えを、月刊文藝春秋で記事にしたところ、世間から大きな反響がありました。そこで、橋田さんが人生と「安らかに楽に死ぬこと」についての考えをまとめたのがこの一冊です。「文藝春秋読者賞」受賞の問題作の書籍化!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
151
秋に腎臓癌の手術を受けた。スタッフの尽力には感謝するが、機械化された医療に身を任せる不安と苦痛を私もささやかながら体験した。思いがけず著者の戦争体験を綴った第一章で涙が溢れた。20才の女学生が死にに行く若者に向ける眼…彼女自身も死ぬ覚悟なのだ。生と死が転倒し、死ぬのが当たり前の世界。生き延びた者として戦争責任を背負っていく著者の姿勢は、戦争を知らない私の胸にもすっと入ってきた。「私の役目は終わった」という言葉は、今の時代との間に距離が空いてしまった嘆きとも取れるが、為すべきことはやり終えた境地とも取れる。2019/12/29
パフちゃん@かのん変更
61
安楽死云々もさることながら、著者の生きざまに感動した。大正生まれでその頃大学に進学する女性はよほどいい所のお嬢様だけだったと思われる。華族、士族、軍人の娘たちと、はっきりと差別されながらも日本女子大を卒業し、早稲田の文学部に編入する。入学したのは親の財力もあったと思うが戦後親は引揚者で親の力に頼らず、働いて学費を払ったというのがすごい。脚本家として松竹の研究生に1200人受けて50人の採用。一年後入社できたのは6人だけ。女性は著者だけだった。『おしん』や『渡鬼シリーズ』朝のTVドラマ、大河ドラマで大活躍。2018/02/14
サルビア
37
この間、テレビで全身の筋肉が動かなくなっていく難病の女性がスイスで安楽死をするまでを描いたドキュメンタリーをやっていた。その放送をみて安楽死に興味を抱いた。日本では安楽死はまだ認められていないが早く安楽死を認めてほしい。著者は、自分がいつも脚本を書いているテーブルで眠るように死にたいという。安楽死が認められていないのであれば、それが理想の死に方なのだろう。2019/06/09
香菜子(かなこ・Kanako)
35
安楽死で死なせて下さい。橋田壽賀子先生の著書。橋田壽賀子先生のような超一流の小説家の先生が安楽死で死なせて下さいというお考えを持っている。その事実はしっかりと受け止めなくてはいけない。安楽死の問題を日本全体で考える時が来ているのかも。2019/08/12
Kentaro
35
もしも安楽死させてあげると言われたらありがとうございますと答えて、今すぐ死にます。と書き始められた一方で、あとがきでは、もう何の後悔もないし、いつ死んでもいいと思っているのは事実だけれども、これから死ぬとわかるのは怖い。お医者様にこの注射をすると死にますよと言われるのは怖いから、いつの間にかどの注射かはわからないように処置して欲しい。ずるいけど弱虫だから。 本当は今も亡くなって30年経つ主人の気配のする家の、いつものテーブルの同じ席に座ったまま眠るように死にたい。という言葉が何か心に刺さりました。2019/02/21
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