内容説明
裕福な商人の末娘ベルは、とびきりの美貌と優しい心根の持ち主。ある日、父親が見るも恐ろしい野獣に捕えられると、彼女は身代わりを買って出た。ベルに恋をした野獣は、正直さに心を打たれて彼女を家族の許に返すが、喪失の悲しみに身を焦がし、命を捨てようとする。その姿を目の当たりにしたベルはある決意をする――。人生の真実を優しく伝え、時代と国を超えて愛され続ける物語13篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白玉あずき
41
とても疲労感があったので、心安らかにほっこりできるかと思って読んだけど逆効果だった。(´;ω;`) 解説を読んで納得。中流階級向け?お子様用読本の道徳テキストだったのか。著者絶賛推奨中の「美徳」とやらは、当時の親御様達のお気に入りの価値観で、かなりグレード高すぎな上に女の子に対する「美しさ」要求は理不尽すぎ。カトリック的には「仙女」の存在はどうよ、異端思想じゃないのか。色々ツッコミを入れてストレス解消させていただきました。『我この空の世にありて、各様の事を見たり。義人の義をおこなひて亡ぶるあり。悪人の悪を2018/11/18
ゆう
34
表題を含む13の短編集。1作目のシェリー王子の話は最初美女と野獣の前日譚なのかと思っちゃった。どの話も人は外面じゃなくて内面が大事なんだよ、ということ。でも分かっていてもそれが一番難しいのよ。そうありたいとは思うんだけども。2017/06/25
薫子
23
借本。小学生くらいの時に美女と野獣の本を読んだ記憶があり、その時はもっと長いお話だった気がする。ヴィルヌーヴ夫人の方のだったのかな。表題作以外にも短編が多数。全てを通して言えるのは、見た目の美醜や地位名誉、裕福さを求めるのではなく、徳の高さや素直さを持ちなさいということ。わかっちゃいるけど難しい、というのが正直なところですな。2017/09/03
❁Lei❁
19
「美女と野獣」の源流をたどって。グリム童話の「夏の庭と冬の庭」は素朴でロマンチックなメルヒェンでしたが、ディズニー映画の元になっているこちらのボーモン夫人版は教訓色が強くなっていました。他の短編も、目に見える美醜ではなく心や知性のありさまを見よ、というメッセージに満ちています。ものすごい醜男・醜女が結婚して報われているけれど、ディズニーの「ノートルダムの鐘」を観たあとではそう素直に信じることもできませんね。ただ、内面が美しく賢いに越したことはないので、知的な会話ができるように精進したいなと思いました。2025/02/01
megu
19
表題作を含め、13編を収録した短編集。とても面白かった。中でも、“オロールとエーメ”、“きれいな娘と醜い娘”が特にお気に入り。童話は似通った作品になりがちな気がするけれど、どれも魅力的で、それぞれの作品で教訓が得られた。大切なのは、見かけの美しさではなく、歳月や病気によっても損なわれることのない、知性と美徳を身に付けること。こちらのボーモン夫人版は、原型となったヴィルヌーヴ版を短縮したもののようなので、ヴィルヌーヴ版も是非読んでみたい。2023/03/28