内容説明
両親から離れ、妹の琴とともに三河で暮らしていた少年・連也は、剣の才能を見込まれ、尾張新陰流の宗家である父に呼び戻される。妹とのつらい別れを耐え、一心に修行に励んだ彼は、「尾張の麒麟児」と言われるほどの剣豪に成長する。やがてその腕が認められ、藩主義直の息子・光友の指南役として江戸に下ることとなった連也だったが、そこには尾張柳生と敵対する江戸柳生の一族がいた…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
永山祐介
1
僕が兄妹(もしくは姉弟)の物語に期待している点は、端的に言えば「それでも諦めきれない恋心」というところでしょうか。社会的な制約が許さない、相手を道連れに地獄へ落ちるようなものかもしれない、家族を裏切る行為かもしれない、そういった諸々の「ためらい」を抱えつつも、「それでも」捨てることの出来ない恋情に惹かれるのだと思ってます(だから、結末がどうなるかはさして重要ではなかったりする)。で、そういう点で見ると、この物語は十分に兄妹ものの要素を備えていると言えましょう。琴の静かな恋情は、強いものがあったと思います。2005/01/04
椿屋
0
キル・ゾーンにどハマりした後に初版で買ったものの、2度の引っ越しを経ても積ん読だった一冊をやっと読み終える。いまや気づけば、須賀しのぶがコバルト作家だと知らない読者も少なくないのでは。著者初の時代小説は、なんとも清廉で切ない業と愛の物語になっている。2017/05/19
紫鈴
0
本人もあとがきで書かれていますがなんとコバルトらしからぬ本!いや、この方の本は総じてそうなんですけど。漢、武士道です。☆42008/02/06
punto
0
追記。2008/05/06
alleine05
0
コバルト文庫なのになんと漢臭いガチな剣客もの。だが、それがいい(にやり) まあ、たしかに青春小説でもあっていると思うけど。最後の勝負の決着のつき方が少々不満だけど、全体的には満足な内容の作品だった。2011/02/27