内容説明
昭和ホームドラマの原点・復刊!
東京・原宿にある蕎麦屋「大正庵」の女主人・大正五三子は、太っ腹で、世話好きで、涙もろいお人好し。
くわえて体重もずっしり横綱級で、ひと呼んで「肝っ玉かあさん」。
この原宿の三大名物の一つともいわれる「肝っ玉かあさん」を主人公に、大正庵をめぐる人間模様を軽妙に描きつつ、ほろりとくる作品。
1968年4月から1972年1月まで全117回、3シリーズにわたって放送されたテレビドラマ「肝っ玉かあさん」。
視聴率30%を誇り、その後「ありがとう」へと続く人気路線の先駆けとなった。
その脚本を担当した平岩弓枝が、ドラマを小説に書き直したのではなく、同じテーマで作者の思いを込めて小説にした。
それが本書、『肝っ玉かあさん』である。
巻末の「四十六年後のあとがき」に、ドラマ「肝っ玉かあさん」役の京塚昌子との思い出が綴られている。
【目次】
序章
雨の日曜日
幼馴染
三三子の縁談
夫婦
邪魔っけ
夏の日
運動会
女盛り
ちいさな秋
あとがき
四十六年後のあとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shizuka
61
明治神宮のお膝元で蕎麦屋を営む、肝っ玉かあさんこと五三子さん。女手一つで息子、娘を育ててきたけれど、親の心子知らず、勝手な振る舞いばかりで五三子の心は穏やかでない。息子夫妻との同居。孫の九子と一緒にいられることが嬉しくてしょうがないが、嫁との確執、板挟みの息子の不甲斐なさが目につく。娘の縁談もなかなか捗らず、ひょんなことから再会した同級生に心惑わされることも。肝っ玉かあさんというけれど日常の出来事に泣いたり笑ったり。意外と普通のかあさん。庶民の生活の中での「あるある」に安心して心預けられる、良質な小説。2017/12/07
カーミン
45
今年の初読みは、本作品となりました。昭和43年からドラマで放送され、多大な人気を集めたホームドラマのノベライズ本。かすかにタイトルに記憶があるものの、ストーリーは全く憶えていなかったので、楽しく読みました。大正庵のおかみさんは、皆が知る肝っ玉かあさん。平岩弓枝さんらしいストーリーですが、私は長男のお嫁さん綾さんが可哀想でなりませんでした。女性が結婚を機に仕事をやめるのが当たり前だった時代、育児と仕事を両立させることがどんなに大変であったか。それは今よりもさらに過酷なことだったのでしょう。2020/01/05
メルル
23
蕎麦屋「大正庵」の女将、大正五三子と家族の物語。良くも悪くも昭和の懐かしい香りがする。嫁姑問題、親子問題、夫婦問題と抱える問題はどこでも一緒。どうやって乗り越えていくべきなのか。いろんな考え方があるものだ。一人一人の距離が昔はとても近かったが、それもだんだんと変わってくる時期に来ている。そんな時代だったんだな。遠いのも近すぎるのも困る。ちょうど良い距離ってどんなだろう。表紙の絵が良い味を出していて読む切っ掛けにもなった。2017/09/07
rokoroko
17
子どもの頃やっていたドラマの小説化。私はドラマも見たことがない。編集者として働く嫁と息子が主人公の蕎麦やに同居。息子はいきなり蕎麦やを継ぐと宣言。そういえば私の兄もあたりまえのように家業の本屋を始めたっけと苦々しく思い返す。息子の配偶者なのに嫁と呼ばれ、決まった行動をすることが常識と思われる。私の義姉の行動もそうだよね、と胸が痛む。私達の10代ってこんな風なドラマやって人気博してたんだと思うと洗脳された私と同年代が困った舅姑になっているのも無理ないかと思うの。せつない読書だった2019/09/28
ふみえ
13
昭和はコミュニケーション能力と忍耐。自分も経てきた時代なのに、今よりずっと大変だと改めて思う。でも、今は何でもハラスメントでこれも面倒。いつの世も人間関係は微妙で難しいと言うことかな。2017/08/07
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