内容説明
新しい光に満ちた第五歌集。
「電信柱抜けそうなほど揺れていた」震度7とはそういうことか
空腹を訴える子と手をつなぐ百円あれどおにぎりあらず
子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え
東日本大震災発生当時、東京にいた著者が仙台の家に帰れたのは、4日後だった。余震と原発事故が落ち着くまでと思い、翌朝息子の手をひいて、西へ向かう。
醤油さし買おうと思うこの部屋にもう少し長く住む予感して
第三者的には「軟禁」とも言える車を持たぬ離島の暮らし
「オレが今マリオなんだよ」島に来て子はゲーム機に触れなくなりぬ
紆余曲折ののち、沖縄の石垣島に住むことになった親子。豊かな自然、地域の人々との密な触れ合いは、様々な変化をもたらした。
愛、発見、出会い――。かけがえのない石垣島の日々から生まれた第五歌集。
解説・松村由利子(歌人)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
@nk
42
今回初めて歌集というものを読了して感じたのは、途轍もなく想像力が掻き立てられるということ。限られた字数での表現なので当然ではあるが、ものによっては全く画が浮かんでこないものも…。いつか見えるときが来ることを楽しみにしていよう。/本書は東日本大震災を軸にしつつ、石垣島での暮らしや家族を描いたもの。来年度、家族で離島留学を検討している私にとって、とっても眩しい沢山の歌に出会えることができた。また、読んでいた時期が下の娘の卒園と重なり、特に子供を題材に詠まれたものに、グッとくるものが多くあった。⇒2021/04/05
June
30
印象に残った歌、子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え/男の子三人寄れば鬼ごっこ始まっている白い浜辺に/こんな笑顔持っていたのか子は君に追いかけられて抱きあげられて/「おかあさんきょうはぼーるがつめたいね」小さいおまえの手が触る秋/川べりの道を散歩に選ぶ午後 風が笑えば水面も笑う2017/09/25
Syo
26
一時、虜になった、 我らが万智ちゃん。 しかし。 今回は、っていうか 既読だと思うけど、 わくわくしなかったど。2020/09/19
ぐりぐら
26
震災後、息子を連れ仙台から石垣島に移り住んだ著者。一年後 はたして自分は正しかったのかと自問。確かに子を持つ親にとって原発事故ほど恐ろしいものはない。不安を抱えながらの島での生活の中で詠んだ 【「オレがマリオなんだよ」島に来て子はゲーム機にふれなくなりぬ 】 島の子として成長する息子の姿はどんなにか勇気付けられただろう。 石垣島の魅力が溢れた短歌が多数。俵さんはもとより、息子さんのセンスがひかる。2017/08/26
ちーちゃん
16
🍀2013年刊行、2017年文庫化。歌集『プーさんの鼻』から2011年震災前までと 震災を経て仙台から沖縄・石垣島へ移住した2013年までの作品。解説は石垣島在住の歌人・松村由利子さん、島に移住を決めた万智さんの覚悟と同時に新鮮な驚きと喜びも温かい言葉で伝えていて…キュンウルで最初から読み直した❣️生意気に私のBEST3①いのちとは心が感じるものだから いつでも会えるあなたに会える②振り向かぬ子を見送れり 振り向いたときに振る手を用意しながら③かすれゆく君の横顔「逢いたい」は逢えないという意味しか持たず2021/03/28
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