内容説明
◆実用化を迎えた量子情報技術
従来のコンピュータとは比較にならない高速計算,決して破られない暗号など,夢のように語られてきた「量子情報」の技術.その現実性が見えはじめた今,電子・情報系のエンジニアにとって最も魅力的なテーマの一つとなっています.
◆難解な理論を,実際の物理系に即して解説
量子力学と情報理論が交差する量子情報の理論は,他の工学分野に比べてもとっつきにくいものです.本書では,量子暗号の実装技術のトップランナーの一人でもある著者が,大学で電子・情報系の学生に量子力学を教えてきた経験を生かし,量子情報の理論と技術の基礎を紐解きます.
- 量子力学の物理と数学を,量子情報に必要な内容に絞って解説.
-「量子ビット」「量子回路」「量子もつれ」などのキーコンセプトを平易に導入.
- すでに実現されている/実現可能性の高い物理系を取り上げ,量子暗号・量子計算の具体的な動作を説明.
――これから量子情報技術の研究・開発にかかわる人に,格好の入門書!
目次
第1章 量子情報技術とは
第2章 量子力学再入門
第3章 量子ビット
第4章 量子情報理論
第5章 量子暗号
第6章 量子計算
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
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量子アニーリング「アルゴリズムでは量子性はゆらぎとしてしか入っていない。そのため最初に述べた汎用か特定用途かという違いだけでなく、原理の観点からも、いわゆる量子計算とは区別して考えるべきである。もちろん、量子性を使って速く計算ができる可能性があるということでは広い意味での量子計算といえる。当初はこのアルゴリズムは通常のコンピュータ上のシミュレーションとして実装されていたが、最近、超伝導量子ビット技術の進歩に伴って物理系にも実装されるようになっており「初の量子コンピュータ」として商品化されている」p.2202019/10/29