小学館文庫<br> 蟋蟀

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小学館文庫
蟋蟀

  • 著者名:栗田有起【著】
  • 価格 ¥682(本体¥620)
  • 小学館(2017/07発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784094064278

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内容説明

読めばクセになる、吃驚の11ストーリーズ。

 先生、これから連続側転するから見ててください――。
 そういって、大学研究室で働く女性秘書は、高層ホテルの最上階のバーで、結構なスピードで部屋の隅から隅までくるくるとまわり始めた。そんな奇怪ながらも有能な彼女に惹かれた准教授はある日、求婚を申し出るのだが、彼女は研究室に珍奇な両生類の水槽を設置したまま、行方知らずとなってしまう(「あほろーとる」)。
 ほかにも、馬、河童、蟋蟀、猫など様々な生き物をモチーフに、日常と非日常の境界線をのびやかな筆致で揺るがす、読めば読むほどクセになる11の物語たち。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

エドワード

26
様々な老若男女の、不条理劇や教訓が垣間見える、愛の寓話。手を触れた相手の現在、過去、未来の見える「サラブレッド」、人の中の動物が見える「ユニコーン」は、特殊能力ゆえの数奇な人生を描く。「あほろーとる」、「いのしし年」はちょっぴり哀しいけれど、みな不思議と明るい終わり方だ。「極楽」だけはアイロニカルで、極楽は刑務所とは、手塚治虫のマンガのようだ。一番気に入ったセリフは、ゲイの男友達のために一度結婚する女性の「だって私たちはすでに一度別れている。もう一生、二度と、別れることはないのだから。」優しさがいっぱい。2017/07/13

だのん

18
11編の短編集。不穏な不思議な世界観の中で、様々なものがたりを楽しみました。『鮫島夫人』では明るい未来がチラッと見えて、『極楽』は何とも切ない思いになりました。この2話が特にお気に入りです。2024/08/13

あ げ こ

13
みんな一所懸命自分を生きていて、愛おしかった。何か少し、人と違う、変わった所のある自分を。苦しくても悲しくても、生き辛くても嫌になっても、やめる事も、別の何かになる事も出来ず、結局は生きて行くほかのない自分を。素朴に、みんな驚くほど素朴に。 諦める事なく、ヤケになる事なく。どちらかと言えば前向きに、それも無理に気張った結果のぎこちない前向きなどではなく、もっと自然な、力の抜けた、ゆるっとした前向き。自分に馴染む、と言った感じの。自分自身に馴染んで行く、と言った感じの。緩やかでほどよい前向き具合。凄く好き。2017/08/13

南雲吾朗

9
不思議な読後感のある11の短編集。どの話も、好きであるが、なかでも「鮫島夫人」が凄く良かった。男女の関係を超越した人間同士の結びつき、思いやり、やさしさがすごく感じられる作品だった。2017/08/12

サニー

8
不思議な短編集。どれも興味深くて面白い。2017/09/19

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