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内容説明
国政選挙で常に700万票以上を獲得、強固な政治勢力である公明党。結党当初は、仏法民主主義など独自の主張をしたが、言論出版妨害事件を契機に方向転換する。1990年代には非自民連立政権、反自民の新進党にも参加した。だが99年に自民党の連立政権に参画。以後、右傾化を強める自民党に反発しつつも、歩みを一にする。本書は、巨大な支持母体・創価学会を背景に持つ特異な政党の軌跡を辿り、その構造にメスを入れる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
50
公明党と学会の関係とか内部事情を分析したものと思いきや、実際の内容は戦後政治史、それも公明党を通じて見た政治史といった趣であった。分析もあるにはあるのだが、最後の部分で触れられているだけ。政治史の中での立場の移り変わりとか、タカ派との関わりあいとかは興味深いものもあったけど、やはり通史の域を出るものではなかった。概論としては役に立つ所もあるのだろうけど、全体的にみると少し食い足りない。公明党幹部にも取材したというから配慮したのかな。分析していた終章は興味深かったので、そういう部分で一冊書いてほしかった。2016/05/02
リキヨシオ
31
創価学会を支持母体に持つ1964年に結党された公明党の50年の歴史に迫る。支持者である創価学会員から700万票~800万票が見込まれる一方で無党派層の支持がない支持不支持がハッキリした政党。結党当初は自民党に対抗する現場主義の「野党らしい野党」として活動していたが1970年の「言語出版妨害事件」により自民党との距離感に変化が出る。「700万~800万の集票力」や「得票数を地域ごとに正確に予測できる」は選挙での大きな武器になり、「出たいより出したい」という候補者選考システムは魅力的な側面もある。2017/03/06
かごむし
30
僕はバリバリの創価学会員なのだが、夢中で読んでしまった。面白かった。公明党賛美の空気の中で生きている僕にとって、冷静に事実を元に書かれた本書は、まぶしくて細目でしか見られなかったものを、等身大の実像に映し出す。なにより日中国交正常化実現における公明党の果たした役割には迫力があった。本書の全般にわたり、長年の公明党支持者として、肌感覚を通じて理解できることが多かった。最後の問題提起も、的を射ているなと思う。都会で働く息子が頑張っていると親族から聞いてはいたけど、突然知らない人から息子の話しを聞くそんな気分。2017/06/30
coolflat
22
1969年の「言論出版妨害事件」は、公明党を大きく変化させた転換点であり、「下駄の雪」を地で行く現在の公明党の姿はここに見出される。公明党は「言論出版妨害事件」により、完全な政教分離を徹底させることを余儀なくされたのだが、本質はそこではなかった。当時の佐藤栄作首相は公明党をかばい、証人喚問などの要求に対しては自民党が数の力ではねつけた。政府・自民党が公明党を守る役割を果たしたのである。自民党にとって「言論出版妨害事件」は、公明党を攻撃する材料ではなく、野党を分断して自分たちに近づけさせる格好の材料だった。2017/02/12
かんがく
13
私が物心ついたときには既に自民党と連立していたわけだが、かつては野党として自民党と対立したり、左派的な主張をしたりと現在とは大きく違う政党であったことがわかる。選挙協力による連立を自民党との間に行なっているが、今後の政界の変動や、支持母体の創価学会の変化によってどのように動くかを注視したい。2021/01/31