内容説明
食べ物の味は、思い出と、ささやかな薀蓄、そしてちょっとのこだわりで奥が深くなる。ビフテキの表情をうかがい、鮓が届く前の予感を楽しみ、「カツソバは冷やしにかぎる」と忠告する。「鯛」「うなぎ」「天ぷら」「ふぐ」「カレー」「じゃがいも」などなど、洒脱な文章で雅俗とりまぜた食材の真髄と広がりを官能的に描き出す、食べ物エッセイの古典的傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユメ
36
神吉拓郎という作家の存在は、『洋食セーヌ軒』をたまたま本屋さんで見かけたことによって知った。こんな味わい深い小説を書く人がいたのか、と驚かされた。この『たべもの芳名録』は随筆。本書も『洋食セーヌ軒』と同じく、今は失われてしまった古きよき時代の情緒が漂っていて、切ないような羨ましいような心持ちになる。美食自慢や蘊蓄の披露ではなく、あっさりとしていながらもたべものの美味が存分に伝わる洒脱な文章を堪能した。季節のよろこびであるたべものを嬉々として芳名録に記していく作者の姿が目に浮かぶようだ。2018/08/09
ぶうたん
8
滋味溢れる随筆集。蘊蓄や虚栄心も無く、淡々と目の前の食べ物に目を向けて語りかける。それでいて描かれる食べ物の数々は香り高く見目麗しく、読み手の頭の中に鮮やかに浮かんでくるのだ。「グルメ」ではない「食べ歩き」でもない、「美味しいもの」を虚心坦懐に語り尽くした名著と言って良いだろう。どれも美味しそうだが、個人的には今は豆腐が食べたい。2022/02/01
圓子
5
もうひとつ食への方針が噛み合わなんだ。生まれ育った時代がまあちがう、か。「以前に比べて味が落ちた」の「どこそこのなんとかに限る」ということになってしまうと、「はあそうですか」と言うしかないのよねー。それ以上に気になって乗れなかったのは、呼吸するかのように自然な男尊女卑でしたが。このジ○イ…と苦笑いする箇所多数。2017/05/03
niz001
4
これもどこかで巡り合えば買おうと思ってた1冊。ちくまとか中公はこういうのを出し直してくれるので有難い。薀蓄少な目の肩の凝らない食エッセイ。うなぎの話はつい最近何かで読んだなぁ。2017/04/12
bvbo
2
時代を感じる内容もあるけど、サラッと読める。2018/07/15