内容説明
「よそう、また夢になるといけねぇ」(芝浜)、「目が見えねぇってのは不思議なもんだ。寝ているうちだけよく見える」(心眼)、「親方、おまえこの子に小言なんていうとバチが当たるよ」(文七元言)……。古典落語には、誰でも一度は耳にしたことがある、オチになる言葉や名シーンがある。これらの言葉の奥にはどんな思いが秘められているのだろうか。落語の解釈は本来、聴き手にゆだねられるものだ。しかし、演者自身はどういう思いで語っているのか。これまでの落語本は、芸談やあらすじに関するものがほとんどだが、本書では、オチの言葉や名シーンで発せられる台詞を軸に、知っておきたいポイントを解説する。落語初心者やより楽しみたい人にとっては、「本当はどこが重要なのか」知っておきたいものだ。本書は、そんな見方があったのかと新しい発見があるはずだ。いままで知っている落語からさらに深く味わえることだろう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
39
重要箇所は明朝太。幸せとは見つけるものではなく、感じるもの(21頁)。「この世は誤解だらけだ。自分にとって都合のいい誤解と都合の悪い誤解な」とは談志もよく言っていた(40頁)という。世の中、勘違いの甚だしい奴の勝ちなんだよ(51頁)。勘違いとは他者からの雑音をシャットアウトし、自分のやりたい道を邁進する力(55頁)。最後に番狂わせを起こすのは、無欲で物に動じない奴だ(81頁)。子育てとはプログラムであり、両親をはじめ過去に繋がった方々へ感謝する再チャレンジ(135頁)。2018/01/31
Nazolove
22
この作者のこういう本を実は待っていた。 古典落語を聞くたびにこの噺ってこういうこと言いたかったのかな、なんて思いながら聞いていたが、やっぱり作者の違った目線からというのを読むと新しい発見があった。 あとところどころで作者の名言もあるので皆さん心にメモしていただきたいと思った。(特にお勧めなのは「男は過去を名前を付けて保存女は過去を上書き保存」) またこの本きっかけに聞いたことない話、遠慮していた話も聞いてみたいな、と思った。(若者なのでYoutube経由かもしれないが(笑))2017/08/25
ベローチェのひととき
12
本屋さんを物色していて気になり手に取った本。著者は立川談慶さん。談慶さんは慶應大学卒業後ワコールに入社し、社会人を経験した後に立川談志の弟子になったとのこと。本書は40作の落語について、その名文句、あらすじと簡単な解説、独自の解釈という構成で綴られている。落語には人の生き方の機微が隠されていると思う。感染病も収まってきたので、また寄席に行きたくなってきた。2024/04/28
かん
8
古典落語の話を見聞きすると「わかるわぁ~w」って話も案外多くて、現代でも通ずることが多いように思われる。落語の解説も分かりやすかったです。人間関係って今も昔もこれからも世界共通普遍的な業ってのがあるわけで。ややこしい世の中だからこそ「愚者は経験に学び賢者は歴史に学ぶ」重要さを再認識しないといけないんだと思う。古典文学、古典芸能からこれからも色々学んでいきたい。2019/08/08
あおいだだんだん
5
落語のあらすじをサッとさらいつつ、印象的なセリフにフォーカスを当てて解説してくれるので、落語にちょっと興味がある程度のわたしにも面白く読めた。2017/08/09