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内容説明
群れで生きるための心の働きを,進化的に獲得してきたヒト.しかし,異なるモラルをもつ人々を含む大集団で生きる現代,仲間という境界線を越えて,人類が平和で安定した社会をつくるにはどうすればよいのか.心理学などの様々な実験をもとに,文系・理系の枠を飛び越え,人の社会を支える心のしくみを探る意欲作.
目次
目 次
はじめに
第1章 「適応」する心
1.生き残りのためのシステムとしてのヒト
2.適応環境としての群れ
第2章 昆虫の社会性、ヒトの社会性
1.群れを優先させるハチ
2.個人を優先させるヒト
第3章 「利他性」を支える仕組み
1.二者間の互恵的利他行動
2.社会的ジレンマと規範・罰
3.情と利他性
第4章 「共感」する心
1.動物の共感、ヒトの共感
2.内輪を超えるクールな共感
第5章 「正義」と「モラル」と私たち
1.セーギの味方の二つの疑問
2.いかに分けるか──分配の正義
3.社会の基本設計をめぐって──ロールズの正義論
4.正義は「国境」を超えるか?
おわりに
主要引用文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ろくせい@やまもとかねよし
88
文科省新学術領域で支援を受けた研究成果の1つとして出版。ミツバチの昆虫生態学による血縁と社会形成の研究、政治歴史を社会学的に解く二者間の互恵的利他行動の研究、個人と社会の利益を行動経済学で解く社会的ジレンマの研究などを紹介する。自由経済で決定されるグローバル化がメタモラルだと提案しているのだろう。しかし、世界の多くの人は論理的に行動するほどの知識をもつだろうか、また損得のみで判断する功利に基づいてのみ行動をするのか、などなど思惟した。2017/08/16
壱萬参仟縁
50
人文社会科学とは、理系以外のさまざまな分野をひとくくりにした学問領域(ⅰ頁)。実験社会科学とは(experimental social science)フィールド実験や調査、コンピュータ・シミュレーションの実験という厳密な共通土俵を自覚的に設けることで、互いの知見や主張に対して妥協のない、ガチの議論をすることが可能になり、広義の実験を使って検討しようとする作業(ⅳ頁)。カスケード現象=株式市場で、自分のもっている情報よりも、ほかの人の行動を情報源として優先して、つぎつぎと全体に広がる連鎖現象(29頁)。2017/10/25
sayan
30
学内研究会で進化生物学の先生が「ハチ」を題材に興味深い発表をした。内容は、自身は損をするが他者の利益のために行う利他行動について。特に、一見矛盾するが自身の生存や繁殖の効率を最大にする性質が進化に関してだった。本書でも「規律」という観点からハチの行動への言及がある。功利主義を巻き込みつつ、社会的配分は生存の脅威となる様々なリスクを集団的に減らすための安全装置として機能するか、著者のロジック展開に興味が尽きない。本書が新鮮な点は、脳の機能に焦点をあて、正義の分配、行動の同調、社会的規律を議論をしている点だ。2018/10/30
樋口佳之
18
文章がわかりやすい上、既知なお話しが多く、すぐに読めてしまいました。こうした話題の最初の一冊にはいいのではないでしょうか/最後通告ゲームの分配提案内容と社会の市場化の相関にかかわる記述、町人型でも武士型でも倫理が一つなら協力的な社会に収束するのに倫理が拮抗すると崩れてしまうという話が印象的でした。2017/07/23
テツ
17
生きているだけで問われる自らのモラル。法的に問題はなくても、自分が暮らす社会に、所属する群れにジャッジされるモラルの成り立ちや意味合いを実験社会科学という学問から説いていく。人間が発明したモノやコトは基本的には人間の群れが便利に存在するために生み出されたのだろうけれど、その仕組みが創られた理由を知らなければ、モラルを逸脱した他者に対する不愉快さが無駄に高まっていくこともある。たかが人間が創り出したただのシステムなんだから、柔軟に取り扱いたいなあと個人的には思います。2021/02/22
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