岩波新書<br> 日本の近代とは何であったか - 問題史的考察

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岩波新書
日本の近代とは何であったか - 問題史的考察

  • 著者名:三谷太一郎
  • 価格 ¥968(本体¥880)
  • 岩波書店(2017/07発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
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  • ISBN:9784004316503

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内容説明

政党政治を生み出し,資本主義を構築し,植民地帝国を出現させ,天皇制を精神的枠組みとした日本の近代.バジョットが提示したヨーロッパの「近代」概念に照らしながら,これら四つの成り立ちについて論理的に解き明かしていく.学界をリードしてきた政治史家が,日本近代とはいかなる経験であったのかを総括する堂々たる一冊.

目次

目  次

 序章 日本がモデルとしたヨーロッパ近代とは何であったか

 第一章 なぜ日本に政党政治が成立したのか
  1 政党政治成立をめぐる問い
  2 幕藩体制の権力抑制均衡メカニズム
  3 「文芸的公共性」の成立──森鴎外の「史伝」の意味
  4 幕末の危機下の権力分立論と議会制論
  5 明治憲法下の権力分立制と議会制の政治的帰結
  6 体制統合の主体としての藩閥と政党
  7 アメリカと対比して見た日本の政党政治
  8 政党政治の終わりと「立憲的独裁」

 第二章 なぜ日本に資本主義が形成されたのか
  1 自立的資本主義化への道
  2 自立的資本主義の四つの条件
  (1)政府主導の「殖産興業」政策の実験
  (2)国家資本の源泉としての租税制度の確立
  (3)資本主義を担う労働力の育成
  (4)対外平和の確保
  3 自立的資本主義の財政路線
  4 日清戦争と自立的資本主義からの転換
  5 日露戦争と国際的資本主義への決定的転化
  6 国際的資本主義のリーダーの登場
  7 国際的資本主義の没落

 第三章 日本はなぜ、いかにして植民地帝国となったのか
  1 植民地帝国へ踏み出す日本
  2 日本はなぜ植民地帝国となったか
  3 日本はいかに植民地帝国を形成したのか
  (1)日露戦争後──朝鮮と関東州租借地の統治体制の形成
  (2)大正前半期──主導権確立を目指す陸軍
  (3)大正後半期──朝鮮の三・一独立運動とそれへの対応
  4 新しい国際秩序イデオロギーとしての「地域主義」
  (1)一九三〇年代──「帝国主義」に代わる「地域主義」の台頭
  (2)太平洋戦争後──米国の「地域主義」構想とその後

 第四章 日本の近代にとって天皇制とは何であったか
  1 日本の近代を貫く機能主義的思考様式
  2 キリスト教の機能的等価物としての天皇制
  3 ドイツ皇帝と大日本帝国天皇
  4 「教育勅語」はいかに作られたのか
  5 多数者の論理と少数者の論理

 終章 近代の歩みから考える日本の将来
  1 日本の近代の何を問題としたのか
  2 日本の近代はどこに至ったのか
  3 多国間秩序の遺産をいかに生かすか
   あとがき
   人名リスト

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

184
2018年新書大賞第3位。 日本近代のありようについて、考察した本である。日本近代史の復習をしているようで、 素直に気持ち良い。 明治という時代を 政治史的観点から 論述した 作品だが、著者の長年の知見が 読者に伝わる。 明治要人の西欧に対する 「恥の意識」の事例は 興味深い。2018/04/04

樋口佳之

68
(教育勅語に比して)憲法は大学教育の前段階ではほとんど教えられることはありませんでした。…政治教育は、憲法によって(あるいは憲法を通して)行われますが、その意味で大学教育を受けない多数の国民に対しては、政治教育はなかったといってもいいすぎではありません。/吉野作造の「憲政の本義を説いて其有終の美を済すの途を論ず」という論文も、憲法教育が及んでいない多くの一般国民の間には広く影響があったとはいえない/前著からの積ん読解消です。凡庸ですけど、やっぱり要を成すデモクラシー不在の近代だったのではと読みました。2022/03/21

Shoji

64
近代日本における政党政治や資本主義の萌芽、植民地帝国化や天皇制に関する一考察であるのだが、いかんせん難解だった。大変興味のあるテーマについて書かれてはいるものの論文でも読んでるような感じだった。2017/06/16

壱萬参仟縁

57
1970年代半ばに唱えられたウォーラーステインらの「世界システム」論などの原型は、19Cの70年代における世界資本主義の「中心」(center)であったヨーロッパの自己認識の中に胚胎していたように思われます(2頁)。中村敬宇(正直)は「良妻賢母」を初めて使った。これは、自ら独立した市民として次代の独立した市民を育てる能力を持つ女性を意味していた(104頁)。学問の自由は、植民地統治の安定化という政治的な戦略目的の上からも重要な要因であるという認識を、当時の朝鮮総督府当局者さえも持っていたのが2017/08/27

ゆう。

35
非常に難解だった。日本の近代政治史を考察した内容。政党政治がどのようにして生まれたのか、資本主義がなぜ形成されたのか、いかにして植民地帝国となっていったのか、天皇制とは何なのかについて、バジョットの近代概念である「議論による政治」をキー概念にしながら「貿易」「植民地化」を促進要因として注視しながら考察しています。また国民国家を形成する政治的求心力に重点が置かれていました。僕はバジョットは初めて触れたこともありその妥当性はよくわかりませんでした。ただ戦前と戦後の断絶と継続には興味深く読みました。2017/06/22

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