内容説明
夏、商、周といった古代王朝を舞台にした傑作短編集。
商王朝の王子・丁は、言葉が不自由なため、父王から追放された。しかし苦難の旅の末に、目に見える言葉――文字を創造した。
己のハンディを跳ね返し、普遍的な価値を生み出した高宗武帝を描く表題作「沈黙の王」ほか、四つの短編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アルピニア
64
「沈黙の王」「地中の火」「妖異記」「豊饒の門」「鳳凰の冠」の5篇。「沈黙の王」は、目に見える言葉「文字」を作った商の武丁を描いている。「鳳凰の冠」は、晋の平公の太傅として活躍した叔向の物語。激しい気性の母を持ち、その呪縛に抗いながら、兄弟とともに時代を生きた叔向。若き日に市場の肆(みせ)で見た美しい冠。出会った類まれなる美貌の女。義に従い直に生き、そのはてに虚しさを感じて官職を去った日に妻から贈られたものは・・。歴史という大きな流れの中で、ひとりひとりの縁や運命が絡み合う。不思議な読後感を残す物語だった。2020/01/30
ポチ
60
表題の、初めて文字を作った商の武丁など、古代中国王朝の話しをファンタジー要素も盛り込んで綴る。楽しめた一冊。2020/06/10
りー
22
短編集。商(殷)の時代漢字の産みの親=武丁の物語「沈黙の王」を読友さんに教えていただき手に取った。夏王朝末期を描いた「地中の火」、西周を滅ぼした傾国の美女=褒姒を描いた「妖異記」、鄭の武公の目で建国を描いた「豊穣の門」、晋の平公の傅育者=羊舌肸を描いた「鳳凰の冠」、どれも古代の物語。解説には美女の描写について書いてあったが、うーん、まぁ生身の女ではないな、という印象。一番悪意をもって書かれていた羊舌肸の母親に一番感情移入できる。古代中国の物語にもっと触れたくなった。2023/08/10
shiman
14
登録に検索かけたら、新装版の表紙は前の版と間違い探しできそうなそっくりで見直しました。同じでも良くない?なほど(笑)ついに群臣の前で子昭のもと説が語るシーンは感動的。2017/08/22
Mzo
12
夏・商・周・春秋時代の短編集。おお、これはどれも良い。どれも粒揃いですが、最後の『鳳凰の冠』が好みでした。人格者の主人公を描くことに長けた宮城谷氏ですが、美女の描写も抜群。上品な文章ながら、妖艶、清楚、明朗と様々に描き分けているのが上手いな、と思います。2025/06/11
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