内容説明
庶民から身を起こして漢帝国を建てた劉邦の下には、優れた人材が集まったが、天下を手中に収めた後、劉邦が「第一の功臣」と名指して称した男こそ蕭何であった。無頼の生活を送っていた劉邦と同郷の下級官吏で、劉邦に何かと目をかけていた蕭何。秦帝国が揺らぎ、風雲に乗じて決起した劉邦こそ天下を治める器だと見抜いた蕭何は、劉邦に数々の策を進言、ついには劉邦軍を項羽軍とならんで秦帝国を倒す二大勢力たらしめる。秦帝国打倒後も、蕭何によって劉邦は何度もピンチを救われる。兵力と武力に勝る項羽に対し、敗戦に敗戦を重ねる劉邦。補給路を断たれれば、いつ自然消滅してもおかしくない劉邦軍であったが、蕭何は食糧を切らすことなく送り込んで窮地を救い、さらには名将・韓信を劉邦に強く推挙、項羽を倒す最大の立役者となった。劉邦没後は漢帝国の基礎固めに尽力した蕭何。その「稀代の名参謀」の生涯を描ききった長編歴史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
糜竺(びじく)
26
昔の中国で漢帝国を樹立し天下を取った劉邦を補佐し続けた、蕭何が主人公の歴史小説です。地味な人物ではありますが、裏方に徹しつつ、劉邦を支え続け、ホント欲望のおもむくまま生きる人物が多い中、清廉潔白に生きた彼の生涯は読んでいて本当に爽やかでした!劉邦の敵国の武将達は、戦いながら現地で略奪し尽くしていましたが、劉邦側は蕭何が後ろで食糧などの補給をしっかり送って支え続けたので、略奪する事が無く、民衆にとても慕われたようです。目立たなくても、影ながらしっかりした働きをする蕭何はホントかっこいいなと思いました。2013/11/11
BIN
6
漢の三傑の一人にして劉邦の縁の下の力持ちである蕭何を描いた作品。全て惚れた男のために家庭を犠牲にし、劉邦を皇帝にするために邁進する姿は素晴らしい。楚漢ものでは蕭何は本当に前面には出てこないけど、本作では張良の働きを抑えて(というか奪って)、裏で兵站や謀略を巡らしている姿をよく出している。ところどころ改変していて新鮮でなかなか面白かった。あくまでも項羽を倒すところまでなので、その後の功臣達の粛清のところとかは描かれていない(書こうとしても難しいところではあるが)。2014/10/31
ヒロ@わんこ
4
歴史資料が少なすぎるんだよね。蕭何をもっと知ってほしい。漢の三傑の中でも最高の功績だと思ってる。楚漢戦争、幾度漢が負けても、その軍が盛り返せたのは、正しく蕭何の功績。蕭何がいなければ、張良も韓信もその力を発揮できないわけですし。劉邦自身も、沛で挙兵できたかどうか。漢の建国の臣では、最高の人物ですね。2011/12/15
Masanori Mori
2
戦争に必要なのは情報と補給。それが分からないまま戦争をしても勝てる訳が無い。この時代に補給の重要性を理解して、立ち回ったことに非常に感動を覚える。歴史では強いものが主役になりがちであるが、このような裏方で名前が残る人になりたい。2013/07/17
ねくらびっと。
2
歴史上偉人は無双の戦績や鬼謀、情に厚い逸話がある反面、ある一面において非情とも取れる行動や感情劣情にまかせた行動をとることが多い。そんな中、本書で取り扱われた蕭何の清廉さがとても心地良く、仕える主君に失望しても良い方に導こうと見限らない徹頭徹尾した姿勢に感動しました。また歴史物に付き纏う口語表現などは現代口調を採用しとても読みやすく楽しめました。2013/06/16
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