内容説明
夢もなく将来への希望もない高2の七槻千世。ある日の学校帰り、雨宿りに足を踏み入れた神社で、千世は人並外れた美しい男と出会う。彼の名は常葉。この神社の神様だという。無気力に毎日を生きる千世に、常葉は「夢が見つかるまで、この神社の仕事を手伝うこと」を命じる。その日を境に人々の喜びや悲しみに触れていく千世は、やがて人生で大切なものを手にするが、一方で常葉には
思いもよらぬ未来が迫っていた――。
沖田円が描く、最高に心温まる物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
187
【レビュアー大賞】昨年の本企画にて初読みとなった沖田さんですが、本作はベタながら、ちょいちょいと涙腺がグッとさせる名作でした。前半はごくごく平凡な女子高生の主人公「千世」と謎の美形神様「常葉」のやりとりにちょっと煩わしさを感じてましたが、中盤からはテーマでもある『夢』に対する思いなどが語られていくあたりに涙が溢れました。諦めてはいけない。夢にむかって進み続ける姿勢について書かれているあたりは、学生の頃にぜひ読みたかったです。ベタあまながら、しっかりと読み手を選ばずに感動させてくれる夏にピッタリな名作です。2017/08/13
インド
104
ー夢をもたない少女「千世」と、絶世のイケメン神様の物語。夢、幸せ、パートナー、猫、野球、スイーツ、光、神社、お祭り、そしてたくさんの人の希望を知って、千世は夢を探していく。神様の無茶振りに応える理不尽ながらも忙しい時間は、とても楽しそうに見えた。高校時代下校中に神社で昼寝した日々を思い出す(罰当たり)。夢が叶えられなくても、夢が叶っても、それはずっとその人を見守り続ける、本当にそうあればいいなあと思うー。次に神社に行くときは、真面目に夢を祈ってみよう。神様に見届けてもらえるように(ノ´∀`*)2017/07/19
SJW
78
夢を守る神様と夢がない女子高生 千世のファンタジーで、最後には千世が夢を見つけてその夢が叶う物語には心温まりました。2017/07/13
katsubek
76
新聞書評より。最初は軽い気持ち。ちょっと軽く見る感じで。ところが、途中から、お、これは。ふむふむ、なかなか。後半は、うんうん、そうだねぇ。いいじゃないか。いやいや、とてもいいじゃないか。軽さは最後まであるけれど、語っている内容は、決して軽くない。とっても、真ん中でございます。素敵なお話をありがとう。2017/08/15
山本真一郎
74
読了。初読み作家。間に合わなかったものの、例のレビュアー大賞の課題図書にあったので関心を惹かれて読んでみた。読後感も悪くなかったし、文章はとても優しい。それでも帯にあった感想文がやや大仰に感じてしまったのは、やはりそれだけ自身が年を経ったという証拠なのだろう。著者が後書きでも書いている様に、人に堂々と語れる夢を持った人というのはそうそういるものではない。が、どんなものでも夢に成り得る、という示唆こそが作品の主題だったろうか。自分等よりもっと若い人が読んでこそ、読後には背中を押される気分を味わえるのだろう。2017/09/16