内容説明
近代日本文学に創造的文芸批評を確立した小林秀雄(1902-83)と河上徹太郎(1902-80)。 1959年に文芸誌「新潮」編集部に配属されて以来、14年間の同誌編集長時代を含めて、二人の最晩年まで身近にいた著者が、小林秀雄の求心力と河上徹太郎の遠心力を対比させながら、その作品と生涯の友情に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猿田康二
2
この二人の評伝を読みながら気づいたのは、本書の中でも紹介しているが、著者はまさに河上徹太郎が好んで使った「対比列伝」の手法を用いている事である。互いを比較する事で一人を論ずる以上の論ずべき対象を浮き彫りにできる手法で、稀代の文学者にして評論家の二人が同時代に生き、互いに切磋琢磨しながら時に同じ女性を愛し、結局友情を優先する安物の青春小説のようなことも起こったことも紹介し、二人の文筆業を著者が共通の編集者としてバックアップに努め、最終的に二人の見事なバイオグラフィーを残す奇跡のような功績に驚嘆を禁じ得ない。2018/10/06
takao
0
ふむ2025/05/31
trazom
0
「新潮」の編集者として小林秀雄さんと河上徹太郎さんと深く交流してこられた著者ならではの貴重な一冊である。二人の対比が面白い。河上さんは音楽、小林さんは美術。河上さんはピアノ、小林さんはヴァイオリン好き。言葉を探りながら立体的に積み上げる河上さんの文体と、自ら言葉を直感的に創り出す小林さんの文体との対照にも通じるという著者の見立ては鋭い。坂本睦子をめぐる関係も詳しく描かれている。同じようなテーマに対して、それぞれがアプローチし、互いに友人の作品を評価してきた二人の関係を知ることができるいい一冊である。2017/09/08