文春e-book<br> 水を石油に変える人 山本五十六、不覚の一瞬

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文春e-book
水を石油に変える人 山本五十六、不覚の一瞬

  • 著者名:山本一生
  • 価格 ¥1,629(本体¥1,481)
  • 文藝春秋(2017/06発売)
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  • ポイント 420pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784163906751

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内容説明

日本海軍を相手にした一大詐欺「水からガソリン」事件の全貌

真珠湾攻撃の三年前、海軍省で三日三晩の夜を徹した実験が行われた。その「街の科学者」は当時の海軍次官で後に「真珠湾攻撃の立役者」山本五十六や、後に「特攻の海の親」ともいわれる大西瀧治郎らの前で、水をガソリンに変えるのだという。

石油の八割をアメリカからの輸入にたよっていた日本は、ドイツと同様に人造石油の研究や、出もしない油田の採掘など、資源の確保に八方手をつくしていた。
そうした時に「水を石油に変える科学者があらわれた」というのだ。しかも、その「科学者」は立派な化学メーカーが後ろ楯となり、帝国大学教授のお墨付きまでもらっていた・・・。

二つの大戦の間に暗躍した稀代の詐欺師の足跡をたどりつつ、この時代の一側面を、それも裏から語る。
詐欺師はときとして、時代の最も脆弱な部分を、だれよりも敏感にかぎ分ける。

<目次>
序章     一通の報告書
第一章   山本五十六と石油
第二章   「藁から真綿」事件
第三章   カツクマ・ヒガシと東勝熊
第四章   詐欺師から「科学の人」へ
第五章   支那事変という名の追い風
第六章   富士山麓油田の怪
第七章   昭和十三年暮れ、海軍省次官室
第八章   蒲田の「水からガソリン」工場
第九章   燃料局柳原少将の嘆き
第十章   実験成功! 次官に報告!
第十一章  宴の終わり
第十二章  立会人たちの太平洋戦争
終章     いまも生き続ける「水からガソリン」

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

C-biscuit

21
図書館で借りる。ニセ科学的な内容で非常に面白かった。時代は石油確保が困難になってきた戦前の話であり、水から石油というまゆつば物の話に飛びつきやすい時代背景がある。陸軍や海軍も巻き込み大きな話になり、縦割りや主従の関係などもあり、信じられていく。本多という詐欺師の話であり、藁から絹をつくるという詐欺もやっていた輩である。常温核融合やSTAP細胞等に似たような話で現在でも起きる。巷には怪しい製品も溢れているw。それにしても石炭から石油を作るのはこの頃からあったようで、さすがに今なら北朝鮮もできているのだろう。2017/10/05

鉄之助

19
水から石油、藁から真綿をつくる、と言って世を欺いた稀代の詐欺師・本多維富。軍神・山本五十六をも手玉に取ったいきさつが、面白い。実は、本多以降の今もなお、「水からガソリン」の話は生き続けている、という指摘はうなずける。2017/09/17

Toska

10
海軍を騒がせた珍事件の顛末。実際の当事者は山本五十六ではなく大西瀧治郎だし、「不覚」どころか最後は詐欺師との知恵比べに大勝するわけだから、副題はミスリードの感あり。とは言え、見え透いた詐欺に一瞬でも期待を寄せた事実自体、海軍が石油に関してどれほど追い詰められていたかを物語る。この辺りのメンタリティは、「ジリ貧となるよりは…」云々の開戦決意に大きな影響を与えていると思う。城英一郎、岡田次作、菊池朝三と、偶然だろうが後の空母艦長が何人も出てくるのは驚き。こんな仕事もやらされていたのか。2022/07/19

パット長月

10
何といっても歩兵がメインの陸軍と違って、石油なしには、まるきり戦にならぬ海軍の、異常なまでの焦りが伝わってくるようである。「油が欲しいからとて戦争を始める馬鹿があるか」といったのは陸軍の石原莞爾であるが、その石原が始めた大陸での戦が遠因となって米国の禁輸に至る。石油を産する新潟出身で博打好きの山本が、南方で油を手に入れるため時間稼ぎ?に真珠湾を襲って一か八かの戦争を始めたのは因果な話である。2017/11/25

千本通り

9
我々は現在車社会に生きていて、ガソリンスタンドでも普通のガソリン以外にハイオクタン、軽油、そして灯油も扱っていることを知っているし、車はエンジンオイルがないと動かないことも知っている。ところが事件当時、石油は庶民にとってあまりお目にかかることのない縁遠いものだった。というのも農耕は馬や牛を使い、交通手段でバスやタクシー、船を利用するときはお世話になるが、多くは石炭の蒸気機関車や電気の路面電車だった。暖房も薪か石炭だった。 2025/05/29

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