内容説明
久しぶりに開かれる大学の同窓会。成城の高級ペンションに七人の旧友が集まったその日、伏見亮輔は客室で後輩の新山を殺害、外部からは入室できないよう現場を閉ざした。何かの事故か? 部屋の外で安否を気遣う友人たち。自殺説さえ浮上し、犯行は計画通り成功したかにみえた。しかし、参加者のひとり碓氷優佳だけは疑問を抱く。開かない扉を前に、ふたりの息詰まる頭脳戦が始まった……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
354
倒叙もので、かつ密室殺人もののミステリー。密室のトリック自体は驚く程単純で、この物語のキモはそこではない。キモは殺人の動機にこそある。およそこの様な殺人の動機を俺は知らない。さて、犯人目線で語られる物語はやや冗長さを感じさせはするものの、その中で犯人は時間の経過をしきりに気にしており、その事も作品の重要なキモであるので、この作品の場合冗長さも必要な要素かと。そしてそのタイトル。タイトルの意味するものは。密室のドアは閉ざされたまま、つまり殺人現場に誰も入らないまま、事件の全てが明らかにされる。独創的作品。2023/02/13
麦ちゃんの下僕
249
読メ登録200冊目。相沢沙呼さんの『invert 城塚翡翠倒叙集』が来月刊行されるのを前に、“倒叙ミステリー”の名作であり探偵役が一般女性である「碓氷優佳シリーズ」を何冊か読んでおこうと。いやぁ~確かにこの作品はスゴいですね!“ある条件”のため容易に踏み込めない密室内で実行された殺人…何とその現場に入ることなく(もちろん死体も実際に見ることなく)優佳は謎を解いてしまうんですから!(笑) 似た者同士&元恋仲である伏見vs優佳の“心理戦”は読み応え充分ですし…賛否両論ある“動機”も僕は面白いと思いましたよ!2021/06/01
散文の詞
231
最初から、犯行の様子が明らかになっているいわゆる倒叙ミステリーです。 しかも、これが昭和的な密室です。 これで、この小説が、倒叙ミステリーだと宣言しているみたいで、思わずニヤリとしてしまいました。 さあ、ここから、探偵がどうやってこの謎を解いていくのかが描かれるわけですが、これが面白い。 多少の強引さはありますが、いかにも対決している感じが読んでてハラハラドキドキです。 ただ、探偵役にあまり魅力を感じないのは、完璧すぎるからでしょうか。 あと、動機がどうなんでしょうね? 2022/03/18
三代目 びあだいまおう
224
これは相当読みやすくて面白い!優佳ちゃんの観察力、洞察力、とんでもない頭脳の片鱗を感じた冒頭からこの物語は面白くなりそうな予感。最初から犯罪も犯人も事件の真相も読者に明らかになっている、そこから犯人がいかに犯行を隠し通せるかの頭脳戦、さしずめ古畑任三郎!段々と追い詰められる犯人の鼓動、動悸、息苦しさ、途中のシーンや言葉の枝葉でちょっとずつ読者に気付かせ軽い優越感を授けるその手法に酔いしれました❗ロサンゼルス、ナパヴァレーの至宝オーパスワンをエッセンスにした本作、そうオーパスワンは奇跡的に美味しいの‼️🙇2018/11/24
ダイ@2019.11.2~一時休止
183
碓氷優佳その1。施錠された部屋に入らせないようにする犯人と探偵の攻防。犯人は初めから判っているので攻防を楽しむ作品みたい。その攻防がイイ感じでした。2015/11/16