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内容説明
私たちは病院に、答えを得るために足を運ぶ。心身の不調の原因が明らかになり、それを取り去るすべが見つかることを期待する。しかし実際の医療現場は、私たちが思う以上のあいまいさに満ちており、期待した答えが得られない場合も多い。そんな時私たちは、医療者に失望するが、それは医療者も同様に悩み、考えるときでもある。本書は、医療者のそんな側面を、本人たちへのインタビューをもとに紹介する。病気になったとき、私たちは医療者とともにいかに歩むことができるのか。かれらの語りを通じて考えてほしい。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
53
各章のタイトル名からして惹きつけます。「第1部 肩越しの視点から 第1章 気付き―ナタデココとスカートのゴムについて 第2章 高齢者と身体拘束―看護師の心もきしむ」と。医療をフィールドとする文化人類学者が、医療従事者たちの生の声を拾い集めた新書。<あらゆるアドバイスに対して首を振り続ける患者が診察室を去った後、「一生懸命考えた方法を全く受け入れてもらえないとこちらも傷つく」とぽつりとつぶやいた内科医>など。参考文献も充実。本書は生活リハビリ情報交流誌『ブリコラージュ』に連載したもの。この雑誌はお薦め!⇒2022/10/06
どんぐり
51
医療現場のフィールドワークから生まれた8つの物語。病気にならないとふだんお会いすることのない医師や看護師、理学療法士などの医療者。医療の場で彼らはどのように患者と向き合い仕事をしているのか、病院という空間で何を感じ、何を大事にし、生活しているのか。「他者の生を通じて知りえた」いくつかのことを、文化人類学者が物語仕立てで明かす。まあ、そういうこともありますね。2018/08/06
とある内科医
41
数年越しの積読本をようやく。遅くてすみません(誰に)。 忙しい療養型病院、身体拘束を巡って葛藤する看護師の語りを繰り返し読み。医療現場は特殊な環境であって、我々も医学生や研修医の頃に感じたはずの違和感をいつの間にか当たり前のこととして無批判に受け入れ、慣らされてしまっているのではないか。相手の肩越しに見る人類学者を通して、自分たちを客観視できる第1部はインパクトがあった。一方、その後不確かな現場を語る医療者たちの言葉は日常診療そのものであり、特に気付きは得られなかった。あれ、読み方が浅いのか…。2022/02/10
kotte
17
医療行為が患者のためではなく、生命を維持するためだけに行われがちなのはなぜか。本書を読むとよくわかります。文化人類学者からみた医療行為という視点が本書を面白くしていますね。とても勉強になりました!2017/11/13
itokake
16
医療現場がフィールドの文化人類学の本。少数民族だけじゃない文化人類学。当たり前のように標準療法が保険診療で受けられる現在でも、医療は科学ではない。人が人を診ることの難しさに、文化人類学が迫る。医療が抱える矛盾(拘束、高齢者への入浴の強制、栄養の強制のような胃ろうなど)は読んでいて苦しくなった。もちろん、一番苦しいのは患者本人。そして現場の医療者も苦しんでいる。様々な研究も引用しながら、現状を説明し「答えなき世界」を問うている。その時、自分なら、家族なら何を選ぶのか。先例を学びながら、答えを探したい。2023/10/16
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