内容説明
古代から中世、宗教改革の時代を経て現代へ至る間、キリスト教は、どのように世俗の権力(国家)から影響を受け、どのように影響を与えてきたのか?「共同性」「終末意識」などをキーワードに語りおろした、権力との関係から見えてくるキリスト教思想史の入門書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
16
大学での講義もの。冒頭で、旧約聖書における「共同性」と新約聖書における「終末意識」の説明から入り、古代地中海世界と教会〜中世教会史と政治〜宗教改革と「終末意識」の再生を経て、近現代の教会と国家の関係へと議論が展開されていく。教皇と皇帝の関係や、世俗政治と教会とのせめぎあいも大変興味深い。コンパクトに纏まっていて、欧米の政治思想とキリスト教思想の関係を歴史的な流れで概観できる意味では有用な一冊。◇そもそもこのテーマは相当に奥が深い。迂闊に深入りすると読むべき本が増えるのが明らかなので怖い。?2018/07/21
馬咲
3
旧約/新約聖書から読み取れる「共同性」と「終末意識」をカギとし、各時代の思潮ごとの両者の比重と意味合いの変化に着目する視座から、古代から現代まで二千年程の西洋政治とキリスト教の相互作用の歴史を概観する。こうして否応なく政治と宗教が連関してきた歴史の見取り図を示されると、自身の宗教に対する鈍感さや、「政教分離」という言葉を、その内実をろくに問わず安易に使っていたことに気づかされ、反省させられる。割愛された内容は多いと思われるが、それでもキリスト教史に疎い私には様々な示唆に富む一冊だった。2023/07/17
左手爆弾
2
「こんな本が欲しかった」というような本ではある。神からの啓示を分かち合う人間集団の重視における「共同性」と、神の国が到来するまでの歴史に現世を位置づけるという意味での「終末意識」、この両者がキリスト教と政治の関係を考える上で重要になる。古代から近代までの歴史の中でどのような論争によって聖俗の関係が自己定義を繰り返してきたかが論じられる。入門講義だが範囲は広く、扱われる密度も濃い。2016/06/14
ざっきい
1
題名そのまま知りたく読んだ本。題名に違わず適度な入門書になっており、コンスタンティヌス帝からアウグスティヌス、カール大帝、グレゴリウス7世とハインリヒ4世、トマス・アクィナス、ルターやカルヴァンと政治と宗教思想の関係がよくわかる。宗教思想の解説に頁を割いている点が特徴的で、著者は「終末思想」に着目している。近代と現代も扱っている所も良いが、ほとんど西欧に関する記述で東欧やアジアとの関連は全く出てこないのは少し残念。2017/02/21
check mate
0
「共同性」と「終末意識」を軸としてキリスト教と政治の二千年を追跡する。あとがきで紹介されている有賀弘先生の言葉がなかなか印象的。2015/06/15
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