内容説明
海にも山にも近く自然に恵まれた風待町。この町の小学五年生・久延丕彦は、たいてい一人で遊んでいた。左足が不自由なため、少し臆してしまうのだ。ある日、砂浜の漂着物から宝物を探していた丕彦は、水平線の向こうに太陽の雫が落ちていくのを目撃する。誰にも言えない、異星人との交流は、その日から始まった――。小さな港町にある病院を訪れる異星からの旅人との顛末を、少年の視線で色彩豊かに描いたノスタルジックSF。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さく
26
主人公は小学生の少年・丕彦(モトヒコ)。脚が悪いので一緒に遊ぶ友だちがおらずいつも一人で遊んでいる丕彦は、謎のスライムを触ったことから異星人科の医者と関わりを持つようになる。児童書っぽいのに、出てくる異星人たちの描写が妙にリアルで気持ち悪く、そこが面白い。私と同じ名前の女性も登場していて嬉しかった。(弟のような異星人と遊ぶ話・猫神の壁を通り抜けた先の陽炎街の話・スザクのさえずりと引きこもりのお兄さんの話・胎児の脳を移植した異星人の話・800年間子どもを探していた木の話。)2018/01/18
kosmos
20
片足が不自由な少年が、ある日不思議な漂着物と出会ったことをきっかけに、宇宙から患者がやってくる「異星人科」と関わることになる話。優しい世界観のファンタジーで、心にふわっとしみこむ。ゆったりと一つ一つ大切に読みたい本。2018/02/06
Tadashi_N
17
光学迷彩が多用される、もののけ異星人ファンタジー。2021/08/27
rosetta
12
★★★★☆タイトルや表紙からもっと子供向けの他愛ない話かと思っていたら(そんな本手に取るなよ)なかなか読みごたえがあった。作者はほぼ同年代で主人公の少年も同じ頃の設定。世相やベルボトムジーンズとかフォークシンガー風と言ったファッションに時代を感じる。実は何百年も宇宙人を治療してきた人たちがいて、それが陰陽師の流れであったとか面白い。たまたま宇宙人を見つけてしまった主人公が次々と関わりを持つ。自分そっくりに育つ宇宙人に健康体であったはずの自分や本当はいない弟との関係を疑似体験する第一話が切なくて好き。2017/07/31
MarsAttacks!
11
藤崎慎吾さんの作品にしては、おとなしい感じのSFでした。小学校高学年の男子の視線で描かれた物語は、舞台の風待町や時代描写も含め、ノスタルジーさを感じます。肝心の物語は面白いのですが、少し物足りなさを感じるところもありました。多分藤崎さんが描く壮大な物語と比べてしまっているのでしょう、でもこんな感じの作品もたまにはいいかな。2017/10/04