内容説明
茉祐子は火山の麓で100年以上続く温泉旅館を営んできた。30代半ばだが、年より若く美しい彼女が深い仲になったのは、新聞の支局員、火山の研究者、新任の教師。時が来れば、彼女の元から去って行く男たちばかりだった。旅先のNYで出会った初老の夫婦の言葉に彼女の凍りついていた心が解きほぐされる表題作など男女の深淵を描く傑作揃いの短編集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
June
30
熱すぎない女の心の揺れの表現、こういう感じは今まで出会っていない雰囲気。「寂しいよ」元夫の友人に仕事の紹介を頼むティールームで、自分の服装が気になりだす女、会うたびに選ぶ服が変わっていく、でも恋じゃない「あの海の前で」子を連れて仲間と海に行ったなんでもない夜、なのにどきどきする「巣箱」庭の巣箱を巡り、老いた母と娘と庭師の男の交流、静かで優しく心地よい「ボルケイノホテル」秘湯宿女将の孤独だけでなく、NYでの見知らぬ人との交歓を描くのがいい。夢から醒めるように終わる結末は、日常へ戻っていくだけなのかもしれない2017/06/10
ジュール リブレ
24
旅先で読んだ旅のお話たち。目的や考えていることは違うけれど、旅に出ると視点が変わるのが面白い。一歩踏み出すにもいい機会。2019/06/13
悠遠
8
短編集。全部、寂しげな女の人たちが主人公。でも最後には吹っ切れたような終わり方で、少しずつ前に進む。そこに登場する男たちはどこかだらしなさが目立つ。可もなく不可もない話。2020/12/12
うるの
5
帯にひかれて読んでみたけど、あんまり好きな感じでなかったです。報われない恋の話の短編集。2019/12/28
かえなつ
4
どのお話しも刹那さが漂う短編集。心の葛藤や揺れ動く様が絶妙な感じでした。最後の給油所のお話しが良かった。2023/05/31