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内容説明
「優れた著作である、というより怖ろしい力を秘めた本である」――三浦雅士(新版解説)
あるものを発生させる力というのは、その発生自体が目的で終息するわけではない。発生した後もその力は一つの傾向を保ち、発生させたものの変化を促し続けるのである――。古代人が諺や枕詞、呪詞に顕した神意と神への信頼を、折口は「生命の指標(らいふ・いんできす)」と名づけ、詩歌や物語の変遷を辿りながら、古代より脈打つ日本文学の精神を追究する。生涯にわたり書き改め続けた貴重な論考。
解説・井口樹生/三浦雅士
(目次)
詞章の伝承
文学様式の発生
律文学の根柢
声楽と文学と
小説戯曲文学における物語要素
文学と饗宴と
異人と文学と
翁舞・翁歌
日本文学の内容
日本文学発想法の一面――誹階文学と隠者文学と
笑う民族文学
追い書き
解説「日本文学の発生 序説」の課題 井口樹生
新版解説 凝視と方針 三浦雅士
著者略年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
『古代研究』では「まれびと」との接触による呪詞による言語以前のメッセージの直接伝達をシャーマンは属する集団の人々に伝え、集団はそれを儀式化して人間同士で伝達する。この「発生」の順序で文学を捉えると集団を超え、階級を逸脱して各地に広がる過程を想定する必要がある。本書は他界のメッセージを移動しながら唱導する者たちを「異人」と呼び、貴族内で醸成された文物を階級外にもたらす隠者、旅の僧、各地を周り神楽を舞う神人団等にこの特徴を見出す。本書執筆の昭和初年頃、著者は西欧人類学の異人論を自説と比較検討していたとされる。2025/03/14
tyfk
7
「隠者の文学についで、芭蕉・西鶴・近松らの隠者を擬装した文学者が出た。ちょうど、平安末期に、隠者文学が擬女房文学として発達したのに似ている。続いてその仮面をかなぐり棄てた町人の文学が、現れて来た。これにも、段階があり、長袖・僧侶・武士その他、すなわち生活気分において、擬隠者の引き続きなる学者階級の者がまず現れた。そうして戯作者すらも、濃厚に、隠者振りを見せていたのである。2023/08/24
テッテレこだち
0
博覧強記が出典を書くのをわりと省略しつつ文学史を書いたらこうなる、というイメージ。書かれた時代が第二次大戦前後というのもあり、日本の民族性格なるものに世間が向ける目を意識した箇所がいくつかある。複数ある貴種流離譚のパターンから俳諧から、ともかく広範囲の文学形式の発生について考察してある。それとは別に「追い書き」の「うちの春洋」の下り、折口個人についてあまり知らなかったので驚き、胸が絞られる感じがあった。二つある巻末解説のどちらも興味深く、もしかすると本文よりわかりやすいかもしれない。2023/03/21
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