内容説明
〔英国推理作家協会賞最優秀新人賞〕妻娘と別居したことで、ピートの家庭は崩壊寸前だ。そのうえ彼は他の家族の面倒まで見なければならない。なぜなら彼は家庭福祉局でソーシャル・ワーカーの仕事をしているからだ――。八〇年代の激動のアメリカにおける様々な家庭、親子、そして犯罪。翻弄されるピートが目にしたものは……。CWA賞新人賞受賞の大作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
147
デビュー作とは思えない読ませる力。読者の心を不穏にする間に挟まれる会話たち。田舎ほど病んでしまうと歯止めがきかないのかもしれない。しかし、善意もまたあることに慰められる。作者は女性にとても冷たいと思った。ボロボロの男たちには差し伸べられる手がふとやってくるが、女たちは虐待され傷付けられるばかりに見えた。2017/10/01
のぶ
70
極端にこの本を要約してしまえば、ソーシャルワーカーをしているダメ男の話である。そしてその家族の物語でもある。前半はどんな小説なのか見当がつかなかったので、手探りで読んでいたが、ミステリー色はあまりないと判断し、後半は主人公、ピートに感情移入して読み進んでいった。するとダメ男なりに仕事もし、苦労して必死に生きている姿が浮かび上がってきた。何をやっても辛い人生を歩まなくてはならない人間の物語と言ったら良いのか?自然豊かなモンタナの情景と、舞台の1980年という時代がどんな色を添えているのかが読めなかった。2017/08/26
星落秋風五丈原
27
自分の娘とうまくコミュニケーションが取れないのに他人の家庭に入って子供達を救う男が見るのは荒廃した米国家庭。2017/12/14
しましまこ
24
主人公が若いロン毛のソーシャルワーカー、良さそうじゃん。軽い気持ちで読み出したんだが重いよ~。担当家庭の悲惨さに加え、自分の家庭も破綻してるよ。後味は思ったより悪くはないが、途中のヒリヒリ感が辛かったよ。2017/06/18
ふう
18
様々な問題を抱え、もうどうしようもなくなった人たちの傷だらけの日々を追う群像劇(みたいな感じ。エピソードの語られ方と登場人物が皆印象的だったから)。誰かを救いたいと思いながら彼自身が一番救われたいと思っている主人公。彼が関わるある父子の行く末と、質疑応答形式で差し込まれる彼の娘の破滅的とも言える彷徨い様が軸となって物語は進む。正直全然ミステリーっぽくなかったけど面白く読めて良かった。読後にこのタイトルがなんとなくしみじみきた。2017/07/10