文春新書<br> 指揮官の決断 満州とアッツの将軍 樋口季一郎

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文春新書
指揮官の決断 満州とアッツの将軍 樋口季一郎

  • 著者名:早坂隆
  • 価格 ¥866(本体¥788)
  • 文藝春秋(2017/06発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784166607587

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内容説明

ユダヤ人「命のビザ」救出劇はもう一つ存在した!

リトアニアの外交官、杉原千畝(ちうね)が逃げてきた約六千人ものユダヤ人難民に対して特別ビザを発給し、その命を救った救出劇は多くの人に知られている。
しかし、その二年半前、満州のハルビン特務機関長だった樋口季一郎が、ナチスの迫害からソ満国境の地まで逃げてきたユダヤ人難民に対し特別ビザの発給を実現させた「オトポール事件」は歴史の中に埋没してしまった。

そのユダヤ人救出劇から5年、北方軍司令官となっていた樋口は札幌・月寒の軍司令部にいた。
彼の指揮下にあるアッツ島には無数の米軍上陸部隊が押し寄せていた。樋口は現地軍に対して一度は「増援部隊」を送ることを伝えた。しかし大本営の決定により、増援部隊の派遣は中止となる。樋口は涙を流しながら、その命令を現地に伝えたという。

アッツ島は玉砕。かつて満州の地において多くのユダヤ人を救った男は部下の命を助けることができなかった。オトポール事件の立役者は「日本初の玉砕戦の指揮官」という汚名をかぶることとなってしまう。

本書は運命に翻弄された元陸軍中将、樋口季一郎の生涯を追ったノンフィクションである。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

57
この軍人の名前は本書で初めて知った。本書の中核をなすのはオトポール事件。1938年にナチスの迫害を逃れようと満洲近くのオトポールにやってきたユダヤ人たちの入国を満州国政府が拒む中、その受け入れを要請し、対応に奔走した当時の満洲特務機関参謀だった樋口だった。過度に美化することもなく、また2万~3万という数値の信憑性に疑義すら上げながらも、この出来事をその人物像と繋ぎながら書き上げている。またアッツ玉砕時の軍司令官であり、同時にキスカ救出の指揮も担っていたとか。ここでの軍人としての苦悩も巧みに描写している。2023/12/23

樋口佳之

53
「日本の歴史家は、日本の負け戦しか書かない。北方でソ連軍に勝った戦闘には、ほとんど目を瞑っている。それはそれで不自然なことだし、非常に残念なことだ」/戦後、樋口はレフ・トルストイの『アンナ・カレーニナ』の全訳に挑戦し、やり遂げている。/陸大卒業生っていう方はやっぱり勉強家なんだな。まず思いつかないし、やり出しても最後まで続かないのが普通2021/12/09

五右衛門

51
読了。暑いこの時期毎年祖父を偲んで戦争関連作品を読んでいますが毎回ロシアにははらわたが煮えくり返ります。けれども今作品は最後の防衛ラインで死守して頂いた司令官、先人の方々の話でした。頭がさがります。今国内外がキナ臭い時代です。が どうか英霊の方々も力をお貸しください。我々も頑張ります。との思いを新たにしました。2022/08/29

さばずし2487398

38
恥ずかしながらアッツ島、占守島、そして樋口季一郎中将を初めて知る。 多数のユダヤ人を救いヒグチルートとして戦後も感謝される軍人と同時に、忘れてはならないのはアッツ島玉砕とソ連軍から北海道を守った占守島の指揮官であった事。この闘いがなければ日本は朝鮮半島と同じ東西に分けられていた事は容易に理解できた。私の父もロシア人となり私は存在しなかっただろう。自分にも多大な犠牲と最後の時迄苦しんだ指揮官の人生に繋がる。 私達はもういい加減自虐史観をやめ英霊達の真実の姿を見つめるべきではないのか。知らない事が多過ぎる。2021/09/20

岡本正行

29
 あまり広く知られていない陸軍の幹部、華々しい実績はない、しかし自らの信念に基づく、この指揮官、大英断というか、型に入った将軍ではない、なにが日本、国民、軍にとって必要か、特に、日本軍、変な偏った考え方の多い日本人、撤退などは恥ずかしいことと考えがちだ、アッツ島何万人もの将兵が戦病死、しかも苦しんだ挙句の末、それにかんがみて、次のアメリカ軍の攻略目標キスカ島から兵力の全面撤退、見事、立派。変なメンツや沽券は捨て、無駄な戦いは、やめる、それこそ名将。その後の終戦時のソ連軍への抵抗、北海道は戦後、無事であった2022/01/31

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