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内容説明
侍の気構えと行動を規定してきた「武士道」。軍国主義につながったとして、マイナスのイメージも持たれる一方、日本人の美徳を支える倫理的礎として肯定的なイメージを持っている人も、これまた多い。歴史的にみれば武士道は、武家社会が発展した中世に自然発生し、『甲陽軍鑑』等の書物で明文化されていくが、戦闘なき徳川時代になって精神的な「徳義」へと転回した。やがて武家以外の庶民階級にも浸透して、一般の生活経済倫理にまで影響を及ぼすようになっていく。「武士道」の豊かなる実態の歴史を、実証主義史学の方法を用いつつ鮮やかに描き出し、その本質に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
無重力蜜柑
10
平安時代から戦前までの「武士道」概念の変遷についての本。とはいえ素朴な日本論、世代論や放言が目立ち、記述の妥当性はかなり怪しい。特に江戸時代の武士道に儒学の影響は薄く、武士道が儒学化したのは明治時代からという説は「本当かよ」と。筆者の儒学評価はかなり低いようで、この辺、自分とは意見を違えるところ。あと武士道と女性の項目とか。これを一冊めにして他にも色々読んでいきたい。2024/03/05
isao_key
10
はじめにで本書の目的を「武士の社会における武士道なるものの実態を、歴史学の実証主義の方法を用いて明らかにすること」「武士道をめぐる心性に焦点をあわせて、それが時代の推移とともにどのように展開していくのか」等と述べる。現代日本の官僚制度は元禄時代の頃に武士による行政支配が元になって形成されてきたという。武士たちは行政に必要な特殊専門技術を現場で働きながら修得していった。OJT型技能形成のスタイルは武士たちにもたらされた。『葉隠』はいかにすれば武士として理想的な生が得られるかを追求していることが書かれている。2017/07/04
Chicken Book
9
新卒採用とかOJTが江戸時代武士の官吏登用とつながるのは面白いと思った。【引用】『葉隠』の武士道とは、死ぬことが目的でもなければ、死が武士の究極のありようでもないのです。いかにすれば武士として理想的な「生」が得られるかが追究されているのです。これは「死」ではなく「生」の教えなのです。死ぬ覚悟を徹底すれば、生死を超越した自由の境地に至るということです。それは、おそらく禅仏教的な観念でしょう。2022/01/15
zel
6
武士道愛が伝わってくる。目隠し選書2021/06/19
nnnともろー
3
武士道の変遷。これまで誤解していたところも氷解。2017/10/09