内容説明
幕末に米欧を巡業した曲芸一座の痛快行状記。
幕末維新の動乱の世、慶応2年10月から明治2年2月まで、高野広八以下18人の曲芸師たちは米欧各地を巡業した。
アメリカ大統領の謁見を受け、パリでは万国博の最中に公演し大入り満員。ロンドンでは女王までもが見物に来るし、スペインでは、革命にも遭遇する。
芸人らしく行く先々で女郎買いにも走り、風俗も洒脱に記録されている。広八が残した日記をもとに、旅芸人のしたたかさ、動乱期の世相が鮮やかに描かれた、曲芸師一座の痛快行状記である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ももや
3
江戸末期、幕府から海外に派遣されたサーカス団の奮闘を、座長広八の日記を紐解き作者が解説するというドキュメント。アメリカを皮切りに、大博覧海中のフランス、イギリス、スペイン、ポルトガル、火事に合ったりだまされて金を持ち逃げされたりしながら興行は続く。日本のみならず欧米もややこしい時代。ややこしい時代をたくましく乗り切る人たちのお話。ペーパーバック、軽い。通勤に最適!2018/10/04
みや
2
幕末から明治にかけて実に2年以上に亘り欧米を巡業した曲芸師たちがいた。これは、後見人として一団を率いた高野広八が遺した日記を基にまとめられたルポルタージュ。幕府と薩摩との軋轢、英米仏の利権争い、19世紀末の世相などの背景も丁寧に織り込まれている。行く先々で盗難や詐欺被害などのトラブルに見舞われながらも、磨き上げてきた足芸や独楽などのパフォーマンスで観客の度肝を抜く様は誠に痛快。安岡氏は、地道に資料を追って歴史の妙を浮き彫りにするこのような作品も実にうまい。掛け値なしの面白さだ。2019/01/09
うぼん
0
「広八日記」の研究としては、宮永孝「海を渡った幕末の曲芸団:高野広八の米欧漫遊記」の方が詳細で、巡業行状記としての解像度が高いのだが、安岡章太郎が描いたのは「大世紀末サーカス」とある通り、19世紀末の日本と米欧の国際関係を背景に(渋沢栄一や徳川昭武や福沢諭吉なんかも登場)別レイヤーで動く物語、広八一行の一代浪漫であり、その俯瞰度は高く焦点も異なる。前者が濃厚なNHKスペシャルなら、後者は今村昌平や五社英雄の映画みたいなものである(そんな映画はないけどデビッド・リーン版なら観たい気がする)。どちらも面白い。2025/02/03
isbm
0
★★★2024/05/05
-
- 電子書籍
- NHKガッテン! 血糖値を下げる! 名…
-
- 電子書籍
- AS+F(アズエフ)1998 Rd06…
-
- 電子書籍
- きみと青い春のはじまり(2)
-
- 電子書籍
- SSSS.GRIDMAN ANTHOL…
-
- 電子書籍
- 夜半の春 照降町自身番書役日誌 角川文庫