内容説明
車から首なしの遺体が発見されるや、次々に殺人事件が。謎の美女、怪人物、化け物が配される中、探偵作家と警部が犯人を追う。秀逸なプロットが連続する傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
58
首を斬られた死体、蟇蛙で一杯の館、そこを徘徊する怪人。と外連味たっぷりのはずなのだが、思ったほどおどろおどろしくはない。題名だけだともう少し土俗的なものを想像したんだけど、屋敷自体が東京のど真ん中だしなあ。最近の推理小説を読み慣れた身からすると、捜査の手順や人物造形、トリックにいくつも穴を見つけることが出来、最後の駆け足じみた所が気になるが、それでも懐かしの探偵小説という事で許せてしまう気分にもなる。でもやっぱりこういう魅力的なギミックを生かし切れていないのは、残念だなあ。読了後、消化不良な感じがする。2017/09/10
geshi
36
謎・猟奇・ロマンス・怪人、戦前の探偵小説らしいケレン味たっぷり、と言うかほぼケレン味のみの作品。怪しげな屋敷に乗り込み、秘密を知る人物に引き回され、命の危機に陥りそうな大冒険を繰り広げるノンストップのストーリーで最後まで飽きずに読めた。現代の目からすれば真実を知っているくせにもったい付けて単純な話をごちゃごちゃさせているだけではある。メインのトリックも「そんなのかよ!」と言ってしまいそうなものだし、舞台設定を生かしてモノを隠しているようでいて、かえって目につくよね?とツッコミ入れたくなる。2017/05/21
penguin-blue
35
路上に停められた車の中に残された首なし死体。事件の舞台は妖しい蟇(がま)の館へ、謎の当主や美しい女秘書、若く華やかな女主人に怪しい登場人物達…そして死体の正体は?緻密な推理を積み重ねる海外ミステリや現代の世相や闇を映す最近の作品も好きだけど、こういうおどろおどろしい大げさな舞台設定やうさん臭い登場人物、雰囲気に満ちた作品に惹かれるのは原点が少年探偵団だから?突っ込みどころは満載なれど最後までわくわく楽しく読めました。世代じゃないけど、脳内吹き替えは紙芝居調の大げさなナレーションと拍子木での場面転換(笑)2018/10/27
hanchyan@ふむ……いちりある
31
とてもとても面白かった(笑)。て言うと、またヘンなのか~と思われるかもだが、ちょっと待て。コレ、WWⅡ前後の❝本邦本格ミステリ❞の、ズバリ❝水準❞ではないか。「1・のっけからズンズンズン!と重なる謎の畳みかけ、2・徐々に明らかになる登場人物たちの相関図、そして3・意外な真相」という構造は実に堅牢。❝本格ミステリ❞の「作劇法」として、これほどお手本になる(内国産の)古典は稀有かもだ。たとえ「3・」に目を瞑っても(笑)。伏線回収の手際の鮮やかさとか、アイディア以前に「おはなしとして面白いかどうか」で言えば、2017/07/22
いっくん
31
梅雨の蒸し暑い朝、高級自動車が駐車している。眠っている運転手に声を掛け、肩を静かに揺すったところ、首がズルズルと…。作品名に心惹かれて読んだんですが、正解!面白かった!テンポ良く事件が起こるし、不気味な蟇屋敷の主人がのらりくらりと中々尻尾を出さないので先が気になる展開。探偵役の小説家や警察は少々頼りなくてジリジリしました。途中でトリックは独り合点してたみたいで、そうきたかの真逆でびっくり!六十数年ぶりの再刊、初文庫化との事、読めて良かった(^_^*)2017/07/03