内容説明
遠藤周作没後20年、世界を震撼させた作品『沈黙』発表50年を記念して、日本人の心を永遠に惹きつける「母なるキリストの世界」に通じるテーマの短篇、人間の哀しみへの連帯と共感を描いた短篇を収録する。
また、1954年に発表された幻の短篇「アフリカの体臭 ―― 魔窟にいたコリンヌ・リュシェール」を初めて収録する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
55
『沈黙』の前後に書かれた作品がおさめられています。何故『沈黙』は描かれたのか、その後、何を導いたのかが現れているように思いました。母に対する想いが強く、ここが原点なのかもしれないですね。2021/07/19
sayan
18
心身共に全く余裕がない時ほどキチジローの一言ひとことがグサッと自分自身に刺さり、そうなんだよ、と安易な同調に流されそうになる。ある研究者が、キチジローの告解狂いとも言いうる告解への執着を、ある種の人間芝居だと論じたものを読んだことがある。それは、告解しないと救われないという強迫概念と、天国泥棒と言われる救済にこだわる狡さへの寛容が何一つ自己の解釈、自己の新しい造形や修練につながっていない、とバッサリ切り捨てる。出張往路の機内でとんでもないものを読んでしまったなと…少し余裕のある時に読み直してみたいと思う。2018/10/15
ひなきち
18
切支丹弾圧でころんだ(裏切った)者の信仰とは…。または、神様に生涯を捧ぐ意思を持ちながら、伴侶を得た者の信仰とは…。遠藤周作氏がキリスト教を、葛藤しながらも、咀嚼し受け入れていく様がよくわかる1冊だった。幼い頃の大連での思い出や、自身の闘病日記…。別名義で描かれた未収録短編も載っている。年表で見る彼の人生と照らし合わせながら、今後、「遠藤周作」の文学に向き合いたくなった。2016/08/24
クマシカ
15
私自身キリスト教の影響を受けて育ったので(カトリックではない)著者の心情というものが少しは分かる。著者と同じように母からの影響というものが一生まとわりついてくる。また「影法師」に出てくる聖職者のエピソードのように、教会で出会った信者からの影響も大きい。著者は幼少期を大連で過ごしたこともその後の人生に大きく影響していると思われる。人間の悲しさ、寂しさ、聖なるものとは程遠い日常の侘しさ、滑稽さ、見ないようにしているものを突き付けられる作品。2021/08/06
あきむら
15
若い頃に何冊か遠藤氏の本を読みましたが、表面をなぞっただけだったようです。この本を読み終えて、「沈黙」も含めもう一度読んでみたくなりました。2016/08/24
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