内容説明
「諸君の先ず身に着けねばならぬ武器は知性である。それが武器としては小さいものであるにしても、諸君の有する最小のものを抛棄しないことが大切である。」吹き荒れる時代の逆風の中、真理を追究する勇気を持ち続けた哲学者、三木清。時代の流れに大学は、学問はいかなる力を持ち得るか。学問論・教育論・制度論と補論の構成で、「大学」の真の意義を問う。
目次
I 学問論
II 教育論
III 制度論
補論 「大学の没落」について
初出一覧
解説 大澤 聡
年譜 柿谷浩一
感想・レビュー
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ころこ
39
大澤聡の編集によって5年前に出版されているアンソロジー。文脈が違い、敗戦を挟んでいるため、まず読まれていない本。しかし、本書を半ば無視する態度が取れるのもこの様なことがあったということが共有され、前提とされているからである。コロナ過があり、一層、当時の編者の思惑からも更に遠くなってしまった感がある。歴史的経緯を軽視ないし無視する現在の空気がやがて見直された時に、アーカイヴとして残っていて、少数の人間にだけでも参照されるために古い版ではなく新しい版をつくった仕事に敬意を。2022/10/01