内容説明
ハインツ・コフートという精神科医をご存知でしょうか。この人は革命的な人物で、それまでは「大人になろう、強くなろう」という考え方が当たり前だった精神分析学の世界で、「人間はそんなに立派なものでも、強いものでもない」と宣言したのです。孤独に高みを目指すことを勧める自己啓発とは一線を画し、何よりも人間関係を重視して、良好な人間関係を築くためのたくさんのヒントを遺しています。その実践的な考え方ゆえに、アメリカのカウンセリングは今でもコフートの考え方に則ったものが主流です。本書では、そんなコフートの考え方をどの本よりもやさしく解説しました。あなたも、より豊かな人間関係を築き、今よりもっと幸せな人生への一歩を踏み出してみませんか? 〈本書の内容〉●第1章 自信がない人ほどうまくいく「甘え」のすすめ ●第2章 嫌われる勇気がなくても大丈夫 ●第3章 コフート流 人づきあいの秘訣 ●第4章 日本は「コフート的」な国
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
デビっちん
29
自分自身が強くなるというのも一つの考え方ですが、自分の弱さを認め、その上で人に頼ろうという精神科医がいたことにパラダイムシフトを感じました。今までは前者の考え方が当然だという考えで生きてきましたが、最近は後者の考え方もありかなぁと思うようになりました。というか、そういう生き方にならないと行く末厳しいのかなと。人に頼る一方で、人から頼られた際には全力で対応する、そのためには自分を愛することが重要だとわかりました。自分を大切にすることができなければ、他人を大切にすることなどできないのですから。2018/05/21
江口 浩平@教育委員会
23
【心理学】 アドラー心理学より優しいコフート心理学。人間の弱さを丸ごと包み込みながら、共感を示して相手を意欲的にしていくことは、教師に必要な考え方だと感じた。現に私の周りにいる「子どもたちに慕われる教師」は、すべからく「ちょっとした変化に気がついて、そのうえでちゃんとほめることができる」教師ばかり。「この人は私のことを見ていてくれる」と相手に思ってもらえるよう、コミュニケーションを図っていきたい。2017/08/19
かがみ
2
「褒めてはいけない」「嫌われる勇気を持て」と常に逆説的なアドラーとは対照的に、コフート理論の全体は「褒めると人は輝く」「そしてその輝きはあなたに返ってくる」という明快なメッセージで貫かれており、そこに素直に共鳴できる人は多いであろう。「人は依存する」という「弱い人間観」の立場をとるコフートは「自己の充実」のために依存できる「自己対象」を見つけ出し「相互依存関係」を築くことが理想的な人間関係であるとする。もっとも、様々な「自己対象」に柔軟に依存できるコフート的な生き方はなかなかしなやかな「強さ」だと思う。2017/06/27
SK
1
他者を無条件に信頼し、あくまで主観的な貢献感で対人関係の中に自分の価値を見出すより (アドラー) 共感力を高めて他者にうまく頼りながら、いい意味で自分が依存できる人を探す (コフート)2017/06/20
ねご
0
人は他人から認められないと生きていけないよ、自分の気持ちと相手の気持ちは別物だけどどちらも大切にしようね…といった感じ?コフートという精神科医の考え方を紹介した本。何故かずっと本棚に積んであったのを消化…貰い物だと思ってたんだけどなぁ…◆コフートの考え方自体は共感できると思うのだけど、なんだか目が滑ってしまってイマイチ頭に入らず。わりと「ところで最近(※6年前の本)こんな事件があったよね、それについて僕はこう思うんですよ…」的な、著者の感想的な脱線がちょこちょこ入ったからかな…?2023/07/10