内容説明
イスラーム文化を真にイスラーム的ならしめているものは何か.――著者はイスラームの宗教について説くことからはじめ,その実現としての法と倫理におよび,さらにそれらを支える基盤の中にいわば顕教的なものと密教的なものとの激しいせめぎ合いを認め,イスラーム文化の根元に迫ろうとする.世界的な権威による第一級の啓蒙書.
目次
目 次
はじめに
Ⅰ 宗 教
Ⅱ 法と倫理
Ⅲ 内面への道
後 記
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
94
日本人である私にとって、アッラーと人の間にある断絶を実感する事は難しい。そもそも無限の彼方から届く神の言葉=啓示を、預言者だけが受け取るという考え方がよくわからなかった。自然の中には神的なものの現れが無数にあるはずだが、アブラハムの宗教ではそれらが普通の人の心に直接働きかけたり、生き方に影響を及ぼす事はないのだろうか? とにかくイスラームでは、神の言葉=啓示をたいへん厳格なものとして扱い、勝手な取り扱いは許さないようだ。ただしシーア派やスーフィズムではまた違うのかな。細かい所までは読み込めていない(苦)。2015/06/04
syaori
63
イスラーム文化の根底にある「イスラームを真にイスラームたらしめている生きた精神」を分析した本。主人と奴隷に例えられる神との関係や、イスラームは信仰を中心とした共同体で『コーラン』の解釈が政治や法律はもちろん日常生活の細部にまで及んでいると聞くと敬虔なムスリムは何と大変なのかと思ってしまいますが、信仰とは、文化とは何かということも考えさせてくれます。そんなギャップも含め、近代化を進めるイスラーム国家が直面している問題など今日的なイスラーム社会の把握にも、イスラーム文学を読むにも理解を深めてくれる一冊でした。2018/07/09
sas
53
著者は世界的な権威だそうだが、イスラム教の知識が全くない人にも噛み砕いて解り易く教えてくれる。これが1981年刊行という古い本にも関わらず、読み続けられてきた理由だろう。預言者ムハンマドは商人で、商売の話が数多く書かれていること、聖典コーランが唯一全ての根源であること、コーランの前期10年、後期10年で考え方が全く違い、それによる宗派の違いが生まれたこと、他のキリスト教などの宗教も含んだ共同体という考え方を持っていること、スンニー派とシーア派の違いなど、面白い話が満載だった。入門書として最適。良本。2015/02/22
Willie the Wildcat
44
成り立ちと分岐。大分類の3つの”立場”に基づく、「コーラン」と「ハディース」の解釈。差異が解釈故に、その主観性が問題の本質を更に深めている印象。但し、それが文化の源泉であり心の拠り所であり”法”。妥協云々の話とは異なる次元。植民地政策を含めた他宗教との意図的・自然発生的な乖離も、混迷に拍車。(お恥ずかしいですが私の)宗教の位置づけが異なるため、感情的には乖離の深さを理解可能も、理性的には飲み込めない・・・。勉強不足ですね。(汗)2015/05/26
KAZOO
37
講演録で話し言葉であるものの結構難しい感じがします。イスラーム文化を理解するには宗教から理解していかねばならぬという事なのでしょう。井筒さん訳のコーランのほうがまだ読みやすい気がしました。やはりエッセンスとなるとこのようなものになるのでしょうね。2014/06/05
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